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ナントでの事件 [仏蘭西]

少々気になるニュースがあったので、書き留めておきます。

フランス西部ナント中心部の路上で11日深夜、日本人留学生の女性(31)が、頭に大けがをして意識を失っているのを通行人が発見、病院に収容されたが重体という。フランス公共ラジオが伝えた。警察は12日、事件、事故両面から捜査を始めた。盗難や性的暴行を受けた跡はない。報道によると、女性の名前は「カヨ」とされ、昨年9月からナント大学で仏語を勉強していたという。

女性はこの後、意識が戻ることなく頭蓋骨陥没骨折で死亡してしまいました。
フランス地方都市で仏語を学びながら、日本食レストランで働く31歳・・・とても他人事とは思えずに、つい色々と想像を巡らせてしまいます。
私のように年齢制限ギリギリでワーホリビザが通って、嬉々としてフランスへ旅立ち、ひとりで頑張っていたのだろうか、などと考えたり。

何者かに殴られたのか、車にはねられたのか、または自ら倒れたのか・・・、警察によると死に至る傷を受けた理由や状況もまったくの謎に包まれており、死因については本日の検死にて判明するものと思われます。

想像の域を超えませんが、状況的にニースでもよく聞いた貧しい少年たちによる物取りか、バイク強盗か何かのような気がします。
下手な抵抗をしたために、殴打または突き飛ばされて重傷を負ったのではないか。
犯人は被害者が思ったよりも重篤な事態に陥ったことに怖気づいたか、騒ぎになっては困るとその場から逃走したのでは・・・。

私はナントへは行ったことがありませんが、ニースでも夜10時以降はごく一部の繁華街以外は危険な雰囲気でしたので、一人では殆ど外出したことがありませんでした。
しかし、レストランに勤務していればこの時間帯の帰宅はやむを得ないかも知れません。
ニュースで見たところ、彼女の通勤路は日中は気持ちの良さそうなロワール川沿いの散歩道ですが、夜は人通りもなく危険と言えなくもなさそうです。
特に人通りが絶えた深夜の南駅・・・、この辺りは工業地帯だというし、地図を見た限りの印象ですが治安が良さそうには思えません。

* * * * * * * * * * 

ところで強盗の恐ろしさについてですが、全世界的に見ると凶器で脅され「金を出せ」はまだ紳士的な方なのですよ。
アフリカの強盗は何も言わずに背後から石で撲殺、または藪掃い用の(→)マシェットでいきなり斬殺、有り金を奪って逃げる手口が横行しているのだというから、助かりようがありません。
言ってくれれば、あるだけお金あげますから・・・。

知り合いがケニア旅行で、あるカップルに聞いた話です。
彼らは南アフリカから旅行に来ていた白人夫妻だったのですが、妻の女性の腕には上腕から手首付近に至る広範囲に生々しい傷跡があり、友人が尋ねてみると、彼らを欧米からの旅行者と思って襲った黒人強盗たちによる仕業だったとのこと。
しかし、襲われた瞬間とっさに彼女の口から出たのは南アフリカ公用語であるアフリカーンス語による反撃の言葉であり、それは長年の支配者の習慣による絶対服従を促す激怒のパフォーマンスだったのです。
暴漢たちはパブロフの犬のごとくに主人の激情に震え上がり、結果、撃退に至ったということです。
民族解放より十数年が経っているとは言え、彼らお互いの脳裏に数世代に渡って刻み付けられた主従の関係が、一瞬のきっかけでお互いの役割を思い出させるという、興味深い出来事。
「あれが、私たちのようなアフリカーンスを話さない普通の旅行者だったら、今頃命はなかったわ」とは、彼女談。
私たちもアフリカに行く際には、なるべくアフリカーンスを話す人とつるむようにしましょう。
あ、でも暴漢撃退には名誉白人でないと意味がないので、ご自分でお勉強なさるのは無意味ですよ。


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「ダーウィンの悪夢」(2004) - Darwin's Nightmare フランス=オーストリア=ベルギー [映画]

監督: フーベルト・ザウパー

★★★★★☆

実質、7ヶ月ぶりの映画レビューです。
以前に比べれば少ないと言え、その間も結構映画は見たのですが、・・・サボっていました。
中には何とも言い難い映画(ハリウッド系や韓国モノ)も多く、レビューのしようがなかったのが、そのまま習慣化してしまった感じで。
007 カジノ・ロワイヤルとかね。最後まで観るのが苦痛だったな・・・。

ところで Facebook って知っていますか?
英語版の mixi みたいなものです。
更に mixi にゆびとまを足したような・・・、卒業した学校や過去の仕事上の人脈を取り戻し、更に現在の友達網を皆に見せびらかそう、といった感じの趣旨でございます。
本名と顔写真を公開している参加者が圧倒的に多く、ネットのみの繋がりというよりは、実生活における人間関係そのものが一目瞭然となっているため、 mixi に比べるとプライバシーの感覚は低めです。
私の本名を知っている方は検索してみてください。ちなみに新姓です。
先日、二度目の招待を受けたため、試しに参加してみました。
そこに気紛れでこの映画のレビューを書いてみたんですが、英語の勉強にもなるし毎回一口感想文くらいは日記代わりに書くかな、と軽めの決心をしてみたところでして。
それなら本家の日本語のブログもちゃんとアップしないとね。
肝心の日本語力を落とさないためと、観た映画の感想を忘れないためにも、マメに書き留めておかなくてはなぁ。

* * * * * * * *

さて、前置きが長くなりましたが。
この系統の社会派ドキュメンタリーは、正直よほど監督の感覚と肌が合わないか、人道的に受け入れ難い価値観に基づいているものでない限り、大抵はそれなりのレベルに達している秀作が多いものです。
完全なフィクション映画と同じ舞台に立たせるのも少し違う気がします。

舞台はケニア、ウガンダ、タンザニアの三国にまたがる世界第三の湖、ヴィクトリア湖。
ヴィクトリア湖と言えば、さだまさしの「風に立つライオン」で朝焼け時に百万羽のフラミンゴが一斉に飛び立つ時、空が暗くなるアレですよ!
ともかく今から四十年ほど前、この湖に肉食の外来魚ナイル・パーチが放たれます。
全長二メートルを超すこの大型魚はたちまちその数を増やし、その生態系の多様さから進化論の提唱者の名を取って「ダーウィンの箱庭」と呼ばれていたこの湖に住む、他の固有種をほとんど駆逐してしまったのでした。
かくして湖畔の漁村では、この魚に群がりビジネスを興盛させるにわか景気に湧くことになるのです。
主な産業はナイル・パーチのフィレ加工。
毎年約8万トンものナイル・パーチがヨーロッパおよび日本に向けて旅立ち、その一方で同じ国では飢饉により200万人が飢えているという事態。
しかし、巨大な魚の輸出業の裏に隠されたある秘密がちらほらとしていることに、ごく僅かの人々は気づいているのでした。

ルワンダにおけるツチ・フツの内戦は、民族間の敵対意識を故意に煽って支配に利用したベルギーの、またはヴェトナムにおける代理戦争の黒幕であったロシアとアメリカの、常に大国の思惑と利益が複雑に絡み合って、今日も第三世界の人々は実は支払う必要のないツケに日々苛まれているのです。
これが、監督の言うところの「負のグローバリゼーション」。

更に、この種の映画の公開にまつわり必ず噴出する「信憑性」「正確さ」への議論がありますが、これはまず監督の主観を通した彼の表現物のひとつであるということが前提であり、しかし社会のひとつの風景を切り取った紛れもない真実の断片であるということが重要であると思うのです。
この負の連鎖の直接の原因が魚であるかは別として、実際に湖は緑に濁り、売春婦は一晩10ドルで体を売り、エイズを蔓延させ、浮浪児達は飢えてスチロールを溶かしたドラッグに明日を任せて道端に眠るのです。
そもそも、人々の注意を喚起すること、実際に彼の目前で繰り広げられた現実をレンズを通して人々に提唱すること、これが目的なのですから。
実際に、監督のフーベルト・ザウパーがこの映画についてこのように語っています。

生命にとって、1番危険な懸念は知らないこと、無知だと思います。私は知的な戦いとして、このグローバリゼーションというコンテキストの中で、この仮面を剥ぐ、ということを使命に感じています。

私は、『ダーウィンの悪夢』で、ある魚の奇怪なサクセス・ストーリーと、この最強の“適者”である生き物をめぐる一時的なブームを、「新世界秩序」と呼ばれるものの皮肉で恐ろしい寓話に変換しようと試みた。だから同じ内容の映画をシエラレオネでもつくることができる。魚をダイヤに変えるだけだ。ホンジュラスならバナナに、リビア、ナイジェリア、アンゴラだったら原油にすればいい。ほとんどの人は現代のこの破壊的なメカニズムについて知っているだろう。しかし、それを完全に描き出すことができないでいる。それは、知ってはいても本当には信じることができないからだ。

映画の中で主にインタビューを受けている社会の底辺の人々が、ほぼ皆理解可能なレベルの英語を話しているのが印象的でした。
まあ、これも大英帝国支配の影響の根深さを証明するひとつなのでしょうか。

目が充血しているラファエルさん

ちなみに漁業研究所の夜警ラファエルさんが、親切で思慮深いようでありながら、暗闇で背筋も凍る気味の悪いスマイルを披露してくれる様がなかなかいい味を出していまして、私、ファンです。
「賊がこのフェンスを越えたらね、・・・殺してもいいんですよ」
「しばらく見張っててね、盗みを働こうとしたら、・・・殺してもいいんですよ」と、毒矢を指先で撫でつつ嬉しそうに語る姿が。
けれども彼、喋り過ぎてしまって、この映画の公開後にマイナスイメージを払拭しようと必死のタンザニア政府の圧力により、夜警を解雇されてしまったそうなのですが。

―ああ、ママ・アフリカ。
人類発祥の地である、アフリカ大陸は人々の故郷であるはず。
数多くの動物、種族の住む生態系の宝庫であるにもかかわらず、草原に古代のままの姿で暮らす人々を除けば、この地での人類の生活はあまりに厳しく困難に満ちてはいないでしょうか。
動物園で檻に閉じ込められた悲しい動物達の夢見る美しい大地、サバンナ。
汚れたコンクリートの床に座り込む毛の抜けたライオンの姿が、私には逆にアフリカの都会の隅で辛酸を嘗めるこの映画の登場人物達と重なって見えます。
平均寿命が三十代、貧困、飢饉、旱魃、病気、戦争、環境汚染、政治不安・・・。
野生動物の楽園でありながら、皮肉にも人間としてアフリカ大陸に生まれるという運命が、失礼ながら不幸であるように思えてしまうのです。
世界の一方で都市の近代化が進むにつれ、常として周辺で前世代的な環境に暮らす人々の生活はひずんで行くものですが、多くのアフリカの問題もここにあるのでしょうか。
それとも、この大地自体がもう人類を懐に抱くことを拒絶しつつあるのでしょうか。
・・・一度、この大陸を自らの足で踏んで見ない限りはなんとも言えませんが。


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西洋芍薬、くれなゐ蕾、匂ひこぼるる [一般]

種から植えるからダメなんですよね。
最初から高望みが過ぎました。
死に絶えたようなシソの鉢の黒土を眺め、首を捻る私。
見かねて姑がハーブ苗のプランターを買ってくれましたところ、殺風景なベランダがぱっと華やぎましてね。
やはり植物効果は絶大。
ローズマリーやらミントやら西洋の香り芬々につき、当初の和草薬味大作戦からはかなり逸れるところなのですが。
そこで、思いつきました。
苗であればいくら植物力のない私でも大丈夫なはず、ということで薔薇やら魚柳梅(オステオ・スペルマムというらしい)の花の苗を入手、頑張って土いじりをして植えましたのことよ、お義母さま。
どうですー、素敵じゃないですか。





そしてこれは衝動買いした切花、西洋芍薬。
ああ、この形態が身悶えするほど好き。
昨日は真ん丸に締まった固い花蕾だったのが、今朝からもったりと開花中。
官能的だねぇ。








おまけ。
ニンジンの葉っぱ。
とても強情な奴で、一ヶ月間は皆に「その二つのオッパイは何?お守り?」「醜いオッパイだなぁ」と揶揄されつつも一向に葉を出さなかったのですが、辛抱強く水を替えていたところ、数日前の蒸し蒸し日和を境に爆発中。
昨今の私の食生活のすべてを委ねてしまっている Cookpad で見つけた可愛いアイディアです。

捨てないで☆にんじんのヘタ
http://cookpad.com/mykitchen/recipe/345334/


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クリーニングで、ハイ五万円。 [カナダの日々]

五万円ですよ!
何のクリーニングって、歯です。
それも特別な薬剤やマシンを使うような審美の施術ではなく、例の先が尖ったキュレットとやらで歯茎の隙間をガリガリ掻き回される、ごくごく普通の歯石除去です。
まあ、初診料代わりに歯の全体レントゲンを撮られたのもかなり効いているのですけれど。

移民前には「カナダは医療費が無料だ!」と無邪気に喜んでいた私ですが、こと眼科と歯科に関してはかつては州の健康保険でカバーされていたこともあるようなのですが、いつからか成人は対象外に。
一方、普段の私が定期的に通うクリニックはまさにこの二つのみ。
かつては配偶者Rも稼ぎの良い定職に付いており、州がカバーしない医療費もほぼ全額が会社によって支払われていたため、一体医療費の内訳がどのようになっているかなどは考える必要もなかったのでした。
しかし、今では自営業となった彼と、無職なこの私・・・。
・・・全額負担?
それでも歯科には行かねばなりません。差し迫った危機があるわけではないのですが、定期検査とクリーニングは必要ですよね。
特にアメリカ人は歯が命!なこの社会、ある程度のステイタスにある人々は白磁のスマイルに目を剥くほどの大金を注ぎ込むことも厭わない世界なのです。
普段は身だしなみに気を使わないオヤジも、小太りのエンジニアも、定期検査の時期が来て歯医者からの来院コールを受けると、皆いそいそと歯科に出かけて行くのです。

幼少の頃、私は学内で十人程しか居ない虫歯ゼロ生徒の肩書きを誇らしげに掲げていたものでしたが、とある年の校内一斉定期点検にて、「今すぐに治さないと手遅れになる虫歯がいくつもある」との栄光失墜の通告を受けてしまったのが運の尽きでした・・・。
昭和50年代当時、先生や医者などは天下の権威。親ともどもお医者を疑ってみるなどということは思いつきもせぬ純真な小市民でしたので、その宣告に哀しく涙を流すものの、早速その校医の居る治療院へ診察の予約を入れたのでした。
結果、このヤブ医者に目視では見えない数々の「虫歯」に悉く大穴を穿たれ、私の奥歯は殆ど銀で覆われてしまったのでした・・・。
治療の継続をやめたい旨を申し入れた際には「まだまだ虫歯がある」との話で、危うくヤブの利鞘稼ぎのために一生物の歯全てに穴掘りをさせてしまうところでした。
悪夢はそれだけでは終わらず、お粗末な治療は詰め物と歯の隙間を残し、そこから更に虫歯の経年進行を許してしまったのです・・・。

この恐ろしい経験により、私は歯医者選びには慎重に慎重を期しています。
多少お高くても、治療に失敗したからと言ってネズミのように新しいのを生やすわけにも行かないのですから、信用できる先生にしか私の歯は預けられん!
それにしても五マンエンとは・・・。
しかし、確かにここはとてもにこやかで良いクリニックです。
スタッフにも徹底したプロ意識が見られ、これも先生の人柄と職業に対する真摯な姿勢が表れているのでしょう。
日本での治療痕である銀歯が珍しいようで、一通りのチェックの後、スタッフが集まって私の歯および治療痕の品評会、さらに鼻腔が一般に比べ広いので鼻風邪の時は人より辛いという、我が身のことでありながらまったく想像もしたことがなかった事実を教えてもらいました。

特筆すべきだったのは、一時間半ぶっ通しで血まみれになりながら私の歯を掃除してくれた歯科衛生士さん。
普通はゆすがせてくれますよね、五分ごとくらいに。
完璧主義者なのです。歯茎の奥に隠れたほんの僅かなミクロン歯石だって、見逃せません。
自らの職業を愛しておられます。
最初は無愛想で少々恐めのオバサン・・・?と言った雰囲気だったのですが、歯石除去への限りないこだわりと情熱について問わず語りに話してくださいました。
前述のごとく、半年ごとに定期点検に来る常連の患者さんには、大した歯石の蓄積など期待できない。
しかし、ごく稀に外国からの新患が来るとなると、歯科衛生士の間には腕が鳴るこの獲物を攻略する幸運者の座を巡り、殺気立つ空気がひそやかに流れるのだとか。
本日の患者リストに私の名を見つけた彼女は、「この歯石は私のものよ!」とガッツポーズで気勢をあげたのだそうです。
そして人種のモザイクであるトロントにおいて、あらゆる人々の歯石をひねもすこそげ落とす彼女が、人種による歯肉及び歯石の蓄積具合の違いについての興味深い考察を披露してくれました。
例えは本土出身の中国人は普段からあまり歯を磨く習慣がないためか、ギネスブック並の歯石が取れる横綱級。
しかし四千年の習慣のための進化か、鍾乳洞のような歯石を結集させている人が居れば、一方で不思議なくらいに何も付いていないまっさらな歯を持つ人が居る。
白人種には白人種の、インド人にはインド人の、東洋人には東洋人の、それぞれの特徴があるのだとか。
黒人の歯は大きく強いのだが、逆に歯肉が柔らかくデリケートなため、歯茎のトラブルが多いとのだそうですよ。
どうだ、知らなかったでしょ?どうでもいいミニ知識がいっぱい付いちゃいましたね。
カナダで生まれ育ったアジア人、日本食しか食べないカナダ人、様々なパターンを観察するに、これは単純な食習慣による特性ではないとのこと。
歯茎における、人種による性質の相違についての観察考。大変面白い視点です。
如何に彼女の生活が歯石を中心に廻っているのかがわかりますね。

帰り際、「ステキな時間をありがとう。楽しかったわ。」と感謝されました。
どういたしまして。あなたが楽しんでくれたみたいで何よりです。
私も、人生で未だかつてなかったほど歯がキレイになった気がします。
血まみれだけどね・・・。

そうそう、先生には丁寧なリスク説明により、すぐにでも親知らずを抜くよう指導を受けましたが、この勢いでは一本につき十マンエンほど掛かりそうですので、いずれ仕事に就いてからに致します・・・。


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夏ですね [カナダの日々]

などとさり気ないタイトルで、さらっと二ヶ月間ほどの更新停滞を流してみます。
蒸し暑うございます。
日々の行動にそれほどの動きも目新しい出来事も起きていないために、どうにも滞ってしまいます。
シソの芽も出ないし。
新居にはテレビもないので映画やドキュメンタリーなどを見る機会にも恵まれず・・・。
ここは一発、ハワイに転勤とか、気前のいい話が持ち上がらないものかしら。(可能性がないわけではない)

私のこの街に対する印象は、いつも侘しく人生の厳しさを噛締めるような灰色極寒のイメージだったわけですが、思い出して見るに、冬と初春は既に三度も経験しているにも関わらず、ここでの夏は四年前に初めてカナダに上陸した時の一度きりしか知らなかったのよね。
実際、カナダは夏にはかなり気温が上がり、結構蒸し暑いのです。
更に今年になって気が付いたことは、トロントの春は方々で花が咲き乱れているということ。
それまで北海道と似たような気候、植生だと思っていたので、想像以上に木々の梢に色色な花輪が綻んでいる様には感激。
特に、桜もどきや私が好きな木蓮があちこちに見られる晩春は、とても幸せな桃色三昧でありました。

さてこれは先月のお話になりますが、日本人たるもの桜が満開と聞けば花見をせずには夏は迎えられない。
ということで、いそいそとお弁当を拵えてハイ・パークにあるという桜並木を愛でに参りました。
広大な公園の一体何処に桜並木はあるのかな?
日本人のグループがちらほらと群れなす方向へと自然に導かれ、ほどなく百本ほど植えられた若いソメイヨシノの並木を発見。
確かに、齢百年を軽く越す上野公園や千鳥が淵の魔性には適わないけれど、皆それぞれに可愛らしいピンクの花を咲かせていましたよ。
やはり、この気候ではソメイヨシノはいまいち映えないのでは・・・と思ったけれどね。

実際に桜の木の下に行ってみると、あれほど居たように感じた日本人は殆ど見かけず、中国人の子供連れが山ほど来ていました。
中国にも日本と同じように桜の花の下に集って飲み食いする習慣があるのですね。
しかし、ここでは花見におけるマナーがまったく徹底されていないではないか!
子供たちが手に手に手折った桜の枝を持つわ、ようやく膨らんだつぼみを毟り取るわ、ハイ、チーズ!と我が子を木の枝からぶら下げさせて記念撮影をするわ、酷い有り様。
まあ、カナダは公共の野外での飲酒は禁じられているので、ブルーシートの醜い酒宴が繰り広げられていないだけマシか。
日本人の花見客もヤバイからな・・・。
せっかく日系のコミュニティの人たちが丹精込めて植えているのに、こんな扱いじゃ綺麗に育たないよ・・・。

更に・・・桜の木の妖精のおじさんが居ました。(→)
こんな蛮行に市の許可が出るわけがないので、勝手に彫ったのでしょうね。
ご丁寧にサインと日付まで彫り付けてありました。
確かに見事な出来ではありますが、ダメじゃないのよ~。
私の中での桜の精はこんな無粋なジジイ顔じゃないし・・・。


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玄関先でガーデニング [カナダの日々]

シソとミツバとミョウガをおつりが来るほど食べたい!!!
水菜のはりはりサラダも毎日食べたい。・・・でも手に入らないので、自家栽培することにしました。
今まで自ら植物を育てたことはありません。
ベランダでいろいろ育てては枯らす母を見て「土なんか触るのイヤだわ」とのたまう娘でした。
さらに、配偶者はサボテンさえをもネグレクト枯死させる男。
そんな家の玄関先に、ついに鉢が設置されたのです!
右上の画像はイメージです。
実際は、これ。(↓)
初心者ながらに、今はシソの発芽を待っているところ。
後からネットで調べて気がついたのですが、発芽するまでは浅い箱に薄く土を撒いて発芽させ、本葉が出てから大きなプランターなどに植え替えるもののようです。
でも、最初から鉢に植えちゃったので、まあこれはこれで様子見です。

2ヶ月ほど前に実家からベランダ園芸の本とシソ、ミツバの種を空輸してからというもの、ベランダに置くのに見た目がいいプランターやらスタンドやらを吟味してはいましたが、気が遠くなるほどのセレクションの中から育てたことのないハーブに相応しいものを選びきれずに、断念。
何しろ引越しで鍋やら皿やら家具やらを買うのが先決で、なかなか私のベランダ園芸にまで手が廻らなかったのでした。
しかし種蒔きは寒冷地で4月中となっていたため、雪が溶け、春が近づくたびに早くしなければと焦っていましたが、神が見かねたか気候は冬に逆戻り・・・。
そのまま2週間、ずっと寒いままです。
シソ植えたからもう春になっても構わないのよー。

ホームセンターへの訪問4度目にてようやく「初心者なのでまずは安物で」というポリシーを決め、無難なプラスチック鉢と培養土、スコップ、手袋などを購入して来ました。
ぐふふ、さぁこれで和製ハーブの Mon Jardin Potager が実現するんだわ♪と喜びいさんで種を蒔こうとしたところ・・・種が、無い。
あろうことか、ホームセンターにベランダ園芸の本、シソとミツバと水菜の種一式を置き忘れて来てしまったのでした。
こんなバカなことってあるのだろうか・・・。
自分の愚かさ加減をなかなか受け入れられませんでしたが、日本語の本に日本の種。何が書いてあるかわからないような代物を、誰も持っては行かないだろうと安心していたところ、やはりその日のうちに盗まれてしまったようで、結局手元には戻って来ませんでした。
Rの推理によると「WOW、ジャパニーズ!読めないけど何だかクール!」という理由により持ち去られた可能性が高いとのことで。
どうせあっても使えないくせにー。返してよ~。
取り合えず、3年前に持って来ていたシソ種があったので、まずはこれで試してみることに致しました。
芽が出るといいな。

ミツバと水菜は次回の空輸を待ちましょう・・・。


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おつかれ [カナダの日々]

人間、慣れた導線での動きから新たな環境に放り込まれると、こうもストレスを感じるものなのでしょうかね。
夢にまで見た新しく麗しいキッチンですが、どうも肝心の人間の動きが洗練されていない・・・。
新しい配置、新しい機器、新しい道具。
しかもね、床は恐怖の石張りタイルですよ。
どういうことかって?何か落とそうものなら、その物体の生存の可能性は皆無であるということ。
このキッチンでまともに食事を作り始めて3日目、既に5点もの物品を立て続けに粉砕して来た悪魔の喉笛、恐るべき石畳・・・。
それも気に入ってるものばかり。
初使用のワイングラス、大活躍だったフードプロセッサー、たった今包装を解いたばかりの砂糖壺の蓋、日本から送ってもらった橘吉の小鉢、五客揃いで頂いた湯呑。
イヤね、落とす私が悪いのですが。
どうしても動きが慣れないのです。
動作のひとつひとつがぎこちないために細かな失敗が積み重なり、作る料理も何だかいまひとつです。え?台所のせいにするなって?
もう少し身体がキッチンに馴染むまで、酔っ払いながらの台所仕事は控えます・・・。(これらの失態は全て酒が入った上でして)

更に、リビングには電話もねえ、テレビもねえ、椅子も机も何にもねえ状態ですので、はぁ~疲れた~、と腰を降ろすのは床。
これがまた日々の引越しの些細なストレスに拍車をかけているのでしょうか。
引越しって意外に消耗するものですね。
想像以上に疲れていたらしいRと私、立て続けに風邪を引き、更にちょっとしたことですぐに諍いになってしまっていけません。
未だに一人単位で物を考える癖が抜けない私。
ひとりになったところで少々反省。

人の子を眺めて癒されよう。
えみちゃんの最新情報です。→
と言っても、これももう3ヶ月も前の写真ですが。
もうこんなにデカくなっちゃって!
彼女、最近笑顔の変わりに間違った表情を使って笑うんです。
歯の間からシューシューと喜びの蒸気を出して、襲ってくるのがたまらない。
チャイルドプレイのチャッキーみたいで怖いです。
次会うときは、また全然違う顔になってるんだろうなぁ。


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引っ越しました [カナダの日々]

ようやく、ゴミ屋敷から引っ越すことができました。
そして私は今、ガラーンとした居間にひとり、ミカン箱を置いてパソコンに向かっているのです。
Rは昨日から数日間の予定で出張に行ってしまいました。
ようやくインターネットに繋がったのは、実質最初に繋がる予定だった日から8日後の昨日。
さらに料金は日本で私が7年前から契約しているO○Nの3倍以上(速度は5分の1)、接続技術者は来る予定時刻になっても現れず、問い合わせの電話を入れてもサポートセンターでは「私にはどうしようもないわ。予定では今日となっているから、遅れてるんじゃないの」とだけ。
「結局来なかったりしてねー、イギリスやフランスではこういうことよくあるんだよ。アハハ」と言って笑っていたところ、やはり来なかった・・・。
再度問い合わせると「行ったけど家に誰も居なかったので、伝言を残した」ということになっているらしい。
その伝言は、どこだよ?
誰も居ないはずの家で、2日間連続夕方の貴重な3時間をじっとお前を待っていた私たちは?
24時間マンションの表玄関に座っていた警備員は?
・・・実は来てないだろ、お前。

まったく、この国の宅配サービスの類は本当に酷いです。
郵便局からこれらの訪宅サービス、高額な送料による確実な配達を掲げるFE○EXなどの私立企業まで、ドライバーは顧客の手元に荷物を届けるということに対しては一切の労力を払わないのです。
一度ドアを軽くノック、返事がなければ不在票さえ入れずに立ち去ってそのままということもよくあります。再配達などもってのほか。
待ちぼうけを喰らって不機嫌な私たちは、これを確実な配達や時給による報酬ではなく、不在も含めて如何に多くの家を廻ったかによって給金が支払われているためではないかと勝手に推測、双方一応の合意を見て納得。というか、そうでもしないとこの許し難い怠慢さの説明がつかないんだもの。
おかげで不要な夫婦喧嘩に発展するところでした。
これまで幾度、大切な書類や荷物を受け取りあぐねたことでしょうか・・・。
パスポートの配達や、インターネットの接続技術者、確認の電話一本を入れることがなぜそんなに難しいのでしょう。
昨年から待っていた私の健康保険証は、結局届きませんでした。
また役所に行って新しい住所宛に再発行してもらうよりなく、更に数ヶ月かかることになってしまいます。

仕事上ネット接続状態が不可欠であるRは、せっかく引っ越したというのに前に住んでいたゴミ屋敷まで車で日参し台所でメールチェック、もしくは外出先にいつもノートパソコンを持ち歩き、周囲の飲食店がワイヤレス・インターネットを提供しているか常にチェックする一週間でした。

こちらのインターネット事情は日本のNTTにあたるベル・カナダ、ケーブルTVと携帯電話のROGERSの2社がほぼ独占状態ですので、個人の無力な顧客が文句を言っても彼らはビクともしないのです。
競合がない社会というのは、消費者にはとても厳しいですね・・・。
カナダは国土は広大だけれど、人口的には日本に比べると桁違いに小さい国であるということを、何度もRに指摘されます。
日本は面積こそ小さいが、実は大国なんだよなぁ。
フランスに住んでいた時、日本人の友人がフランス語のクラスで日本の人口の話になり、フランスの6割ほどの国土面積内に2倍以上の1.3億人がひしめいていることを初めて認識し、「日本人って多いんだね。なんだか恥ずかしくなっちゃった。」と言っていたことを思い出しました。


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ホメオパシーで恐怖症を打破 [一般]

恐怖症とパニック障害って同じものなのかな?
ある出来事により二年前から軽く悪化した私の閉所恐怖症ですが、気になってウェブで調べてみると、どうもパニック障害の症状にとてつもなく近いようなのです。
自分がパニック障害とは・・・、一体どんなトラウマが私の心の奥底をロックしているのだか、ひょんなことで垣間見えた自らの内部の闇が何だか計り知れなくなりました。

とは言っても、私は電車も飛行機にも乗れてしまっているわけです。
体調が悪かったり、何か不穏な事件が起こるともうダメなのですが、日常の状況では自分に暗示をかけて無理に誤魔化さずとも、ごく普通に乗り物に乗れるようになっています。
恐怖症の治療法として、何も悪い事が起こらなかったという良い経験をいくつも積み重ねて行き、より苦手な状況にも徐々に慣らしていくというのが有効なようで、嫌いなエレベーターにも毎日果敢に挑戦していますことよ。

まあ、大人になってから最初のパニック発作を起こすまでに海外に飛行機で何十回と行き、東京の満員電車で毎日通勤していたのだから、経験値で行けば相当のツワモノになっているはずなのですがね。
ただ、去年の夏以降はかなり敏感になっていたために、飛行機に乗ることは結構な不安でした。
飛行中エア・ポケットに落ちたり、前輪が出なくて胴体着陸、なんて状況になれば、私はおそらく発作で悶絶して周囲をより一層の恐怖の渦に巻き込んでしまうと思うので・・・。
更に一旦発作を起こした機内に再び戻ることは、相当の努力が必要になるはず。
海外に在住している以上、飛行機に乗れない人になるわけには行きません。

閉鎖された空間内にて突然咳が出て止まらなくなることがある私は、ペットボトルの水を常にカバンに入れておくことで、お守り代わりにしていたのです。
例えエレベーターや電車が止まって中に閉じ込められたとしても、水があればとりあえず死なないかな、と。
しかし最近の飛行機(特に米系航空会社)は水どころかあらゆる液体を搭乗前に容赦なく没収するため、その作戦も適わず。うわぁぁぁぁ、万事休す!!!

そこで、ホメオパシーを試すことにしました。
今回、バンクーバーに飛ぶ直前にパニック・レスキュー・レメディというものを入手したのです。
心と体を静め落ち着かせる効果があるという、小さなスプレータイプの調合レメディです。
出発の日は体調的に少し不安定だったのと、久しぶりに早朝に起床して高速道路の架橋上をジェットコースターのごとくタクシーで飛ばしている状況、5時間のフライトへの緊張感などで、私はいつになく発作への不安を抱えていました。
そこで早速、前日届いたレメディ登場。
試しに口の中に規定どおり2度ほどスプレーすると、気のせいかスーッと不安が落ち着いて、急に頭が冴えたような気がしました。

この際に同時に求めたのは、アレルギーに有効なアラメッド・リリーフ、困難な状況に遭遇したときやショックを受けたときに心の救急処置となるバッチフラワー・レスキュー・レメディーです。
他にもハーブ茶を数種。
膀胱炎などの感染症に対して体の自然な回復力をサポートするためにつくられた腎臓/膀胱ティー、女性の心と体を物質的、生理的にサポートするというウーマンズティー、肌に良いと一時評判になったローズヒップ・ティーなどです。

購入したのはニュージーランド・ヘルスショップという、その名の通りニュージーランドにて自然療法家であるオーナーが、成分や品質にこだわって厳選した自然派健康製品などを販売するお店です。
アロマセラピーについて興味を持ち、調べ物をしていた時に出会ったサイトでしたが、オーガニックのハーバル原料を中心にした興味深い商品ラインナップにすっかり心を奪われて、つい色々と注文してしまったものでした。
ヤバイ。ハマリそう。バッチフラワーのお勉強のためだけに、イギリスに留学したくなって来た・・・。
実はこの受け取りにも一悶着あり、カナダ郵便局の怠慢によって最初に発送されたこのニュージーランドからの小包は行方不明になってしまっていたのでした。
本当は12月に日本に一時帰国する前にはすでに受け取っているはずだったのです・・・。
三ヶ月経っても私の商品が手元に届かないことに驚いたスタッフの方が、ご好意で同じ製品を再度発送してくれたため、今回ようやく受け取ることができました。
優しい方々です。
しかし、そんな生活にもうっかり慣れて来てしまっている自分が怖いです・・・。
以前はひとつひとつに激昂して怒りの記事を書いていたものよのう、とニースの日々を懐かしむ私でした。

ニュージーランドヘルスショップ
http://www.nzhealthshop.net/

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先日、ネットサーフィン中にこれを見つけました。
奥田民生が歌う「エキセントリック少年ボーイ」の終わりのテーマです。
何だか切なくて、まるでいい曲みたいですね。
もともとこの曲が結構好きで、当時は割と真面目に口ずさんだりしちゃっていたのですが・・・。
「あーあー明日になんかならなきゃいいのにー♪」ってね。
松ちゃんの歌詞、変だけどいいよな。


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妻を火炙りにしてはいけません [カナダの日々]

先日、テレビを見ていたら興味深いニュースをやっていました。

カナダ全体が外国からの移民を広く受け入れる政策を推進している結果、各地で大小の文化的な摩擦が起きていることは、ある意味避けがたい事実です。
そう言う私も移民の一人ですから、日々カナダのヘンなところをこうしてあげつらってはブログのネタにしたりもしているわけです。プチ日加摩擦ですね。もちろん逆の立場の意見もあるわけで、「ここがヘンだよ!日本人」がその一端に当るのかと思われます・・・。
さて、カナダ唯一のフランス語文化圏ケベック州にも例外なく移民は流れ込んでいるのですが、ニュースはこのケベック州のとある小さな田舎町(村?)についてのレポートでした。
Herouxville は モントリオールの北東160キロ地点に位置し、1,300人ほどの人口のほぼ全員がフランス語を話すカトリック教徒で占められています。
このたび移民を受け入れるにあたって発表された移民心得がマスコミの目に留まり、この小さな町は現在ちょっとした騒動に巻き込まれているのです。

その心得とは・・・
「この町では公共の場で顔を覆って歩くことはハロウィーン以外には許されません」
「この町では女性を石打ちにして殺害したり、公衆の面前で殴ったり、生きたまま火炙りにしたり、女性器を切り取る行為は許されません」
「この町の人々は年末には樅の木を飾り、酒を飲んで踊り、プレゼントを交換し、キャロルを歌うでしょう。これはクリスマスと呼ばれるものです。あなたもそんな場面に遭遇する可能性がありますので、反発することなくご承知おきください」
・・・などなど。

得体の知れない異民族、特にイスラム教徒に対する恐怖と差別の心理が如実に表れていますね。
確かに保守的な住民たちの精神的な抵抗や、未知のものに対する恐怖心は理解できますが、大方のメディアはこれを「行き過ぎた表現」「外国人アレルギー」と批判する向きが多いようです。
マイナス20℃を超すことも珍しくないケベック州の冬には、老若男女問わぬ皆がマフラーや帽子で厳重に顔を覆っているのですがね・・・。

この心得を制定した主要人物である町議員 Andre Drouin 氏は「国内外から2,000件を超す励ましのメールをもらった」「私達はあくまで自分達の立場を明確にしたかっただけなのに、イスラム教徒が過剰反応している」と反論しています。
「いずれの国からも、あらゆる宗教の人々をも歓迎するが、彼らは故郷のしきたりを放棄し、私達のライフスタイルを受け入れなければならないのだ」
また強硬派の意見として、モントリオール市内にてユダヤ教徒のシナゴーグに隣接するジムの窓から礼拝中に似つかわしくない光景(レオタード姿の男女が飛んだり跳ねたり)が見えることにに対してジムの窓が磨りガラスに変えられたことや、カナダ最高裁判所がシーク教徒の学生が祭祀用の短剣を学校内で持ち歩くことを認めたことに言及し、異民族のワガママ、受け入れ難い譲歩であるという立場を表明したラジオのコメンテーターも現れました。

この町の保守的なオバサマ達も、カトリック教会の裏手にストリップ・クラブやゲイ・バーができたなら青筋立てて怒鳴り込むのでしょうに。
現に、キリスト保守派系の反同性愛者団体であるアメリカ家族協会(AFA)は、米ウォルマートがゴールデングローブ賞四冠を受賞した同性愛映画「ブロークバック・マウンテン」のDVDを販売することに猛烈抗議、「ウォルマートがもはや私達が慣れ親しんできた家族に優しい企業でないことはあきらかだ」などと言ってボイコット運動を起こしているのです。

確かに私としてもいくら最高裁判所で認可されたとは言え、祭祀用と称して子供が刃物を教室内に持ち込むことには諸手を挙げては賛成できません。
しかし、これはどちらの立場の生徒も各学校が良識において定めるポリシー、ルールに準じれば良いのではないでしょうか。
カナダ国の人々の常識と各種の宗教感情とを照らし合わせた上で、譲れない要件については最善の解決点を見出して行くという努力は常に必要だと思います。
シナゴーグというユダヤ教徒に対しては無二の聖なる礼拝の場には、周囲の人間に多少の譲歩を要するとしても、尊重されるべきだと思うのです。モントリオールの事例についても別にジム自体を廃業に追い込むような極論ではなく、ただ窓から見える相応しくない風景を擦りガラスで遮断する、という解決策は極めて妥当だと思えます。
前述のカトリック教会の裏手にストリップ・クラブを開業しないのと同じ心遣いです。
強いられた不便さの逐一を鬼の首を取ったように振りかざしてヒステリックに批判するだけでは、決して他民族との共存は望めないでしょうから。。。

それぞれの良識、およびその国(この場合はカナダ)の法律や慣例に倣って、認めるべき物は認め、看過できないものは規制する、なぜ臨機応変に対応できないのでしょうね。

マスコミのバッシングの故か、2,000件の励まし以上の数の批判メールを受け取ったためなのか、後日 Herouxville の移民心得は衝撃的な表現をかなり削ったものに書き換えられたようですが。

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トロントに戻って来たところ、9日間ほど無人だった台所に地下のネズミ君がついに引っ越して来ちゃったみたい・・・。
ハウスメイトが放置したゴミ袋の臭いに誘われて階段を昇って来たものと思われます。
天敵ゴキに比べればネズミの顔なんてカワイイものですが、台所に共存となるとこれはまた別のお話ですーー(泣)
だって哺乳類だし~保菌獣だし~何でも齧るし~手足が器用だし~・・・
怖いよぅ。
引越しまであと3週間・・・。


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