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「ホテル・ルワンダ」(2004) - HOTEL RWANDA カナダ/イギリス/イタリア/南アフリカ [映画]

監督: テリー・ジョージ
出演: ドン・チードル 、ソフィー・オコネドー 、ホアキン・フェニックス

★★★★★★

主題は重いですが、是非観てください。
すごく良い映画でした。

「ツチのゴキブリどもを根絶やしにしろ!!」
1994年にルワンダで起きた、100日間で100万人が殺されたという大規模な民族間紛争。
激しさを増す戦局の中、全ての外国人を国外に避難させた後、フランス、イギリス、アメリカ・・・ついに国連もが手を引き、世界に黙殺されることになってしまったこの大殺戮。
「見捨てないで!私、殺されるわ!」とすがる恋人のツチ女性に有り金を押し付け、自らの恥を噛み締めながらも去って行く白人記者。
自分可愛さとは言え、命がかかっているのです。
一方的に責められはしません。
私は国際結婚していますが、もし世界情勢が大きく変わってこのような立場に置かれたとしたら、一体どうするのでしょう。

「電話で国外の知人に助けを求めなさい。受話器越しに彼らの手にすがり、その手を離したら貴方達が確実に死ぬことを訴えなさい。助けない彼らにその恥辱を思い知らせるのです。」
後にアフリカのシンドラーと称されたホテルの支配人ポールは、ホテル内に残されたルワンダ人難民達に訴えます。

ところでこの映画は当初日本公開のめどが立たず、『ホテル・ルワンダ日本公開を求める会』 なるものが発足して4000通を超える署名を集め、ついに公開に漕ぎ着ける、という経緯があったのですね。
米アカデミー賞にノミネートされたことで映画の付加価値が上がり、高額の配給料を支払った上で採算を取るには、出演者の知名度や映画のテーマに難点があると判断されたためだそうです。
所詮、映画配給もビジネスですから、採算が取れないと評価された場合、どんな大作であっても公開不可能ということがあり得るのですね。
ともあれ、運動が功を奏して、日本でも公開の運びとなったことは喜ばしいことです。

主人公のポールはタイガー・ウッズを思わせる清潔な笑顔で、とても爽やかさんです。
妻のタチアナは「堕天使のパスポート」でファンキーな娼婦の姉ちゃん役を演じた人ですね!
まったく違う雰囲気になってしまうから、役者は凄い。
そして、クレジットには出ていませんが、ジャン・レノがサービス出演しています!
前髪を櫛でピチッと撫で付け、英語を喋るジャン・レノ。
いいもの見ました。

それにしても事件の背景を探ると・・・パレスチナ問題同様、諸悪の根源にはいつも欧米列強の干渉が欠かせないものなのですね。
特にルワンダにおけるツチ・フツの内戦には、ベルギーに重大な責任があります。
彼らはこの地に元々あったツチ・フツの容姿的違いを自らの白人至上主義的人種理論に当てはめ、それをルワンダの支配に利用し、結果彼らの社会的・精神的分裂を決定的なものにしたのです。

この映画には、実際に虐殺の現場を目撃した体験者の人々が多くエキストラ出演しているのだとか。
フツ蜂起の象徴シャツのデザインがなかなか素敵なのですが、実際の事件でこのデザインが使用されたのだとすれば、虐殺の対象になったツチの人々にとっては禍々しく恐怖の象徴であっただろうと思います。
できれば思い出すことさえ避けたい経験に違いないのに、彼らの多くは映画によって世界に事件の全容を知らせたいと願い、出演に協力をしたのだそうです。

挿入歌がまた良くて、ラストの子供達の合唱から始まる「ルワンダ!ルワンダ!アメリカ合衆国があるのなら、できるはずさアフリカ合衆国」と歌う主題歌に涙が止まらなくなってしまいました。
サントラを買って、思い出し泣きをしようと思います。



Hotel Rwanda

Hotel Rwanda

  • アーティスト: Original Soundtrack
  • 出版社/メーカー: Commotion/United Artists/Lions Ga
  • 発売日: 2005/01/11
  • メディア: CD


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りお姐

ほぼ日でも取り上げられていましたね。
http://www.1101.com/news/2006-01-14.html
『キリング・フィールド』みたいなもんですかね?
by りお姐 (2006-02-13 05:11) 

meg

どちらも同じく実話をもとにした映画なので、この表現は相応しくないのかもしれませんが、「ルワンダ」の方がドラマとして洗練されており、登場人物も魅力的です。
監督は暴力的なシーンはなるべく抑えて、観客がホテルという閉鎖された環境に取り残されたポールと難民の視点でドラマの臨場感を感じられるように留意したそうです。
実際に、テロリスト相手に奔走するポールの手腕と、感情の変化がドラマとして、とてもよく描かれています。

「キリング・フィールド」には何となく胡散臭さも感じたので、個人的には全然別物かな、という感想です。
ぜひ見てみてくださいねー。
by meg (2006-02-15 23:05) 

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