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「ダーウィンの悪夢」(2004) - Darwin's Nightmare フランス=オーストリア=ベルギー [映画]

監督: フーベルト・ザウパー

★★★★★☆

実質、7ヶ月ぶりの映画レビューです。
以前に比べれば少ないと言え、その間も結構映画は見たのですが、・・・サボっていました。
中には何とも言い難い映画(ハリウッド系や韓国モノ)も多く、レビューのしようがなかったのが、そのまま習慣化してしまった感じで。
007 カジノ・ロワイヤルとかね。最後まで観るのが苦痛だったな・・・。

ところで Facebook って知っていますか?
英語版の mixi みたいなものです。
更に mixi にゆびとまを足したような・・・、卒業した学校や過去の仕事上の人脈を取り戻し、更に現在の友達網を皆に見せびらかそう、といった感じの趣旨でございます。
本名と顔写真を公開している参加者が圧倒的に多く、ネットのみの繋がりというよりは、実生活における人間関係そのものが一目瞭然となっているため、 mixi に比べるとプライバシーの感覚は低めです。
私の本名を知っている方は検索してみてください。ちなみに新姓です。
先日、二度目の招待を受けたため、試しに参加してみました。
そこに気紛れでこの映画のレビューを書いてみたんですが、英語の勉強にもなるし毎回一口感想文くらいは日記代わりに書くかな、と軽めの決心をしてみたところでして。
それなら本家の日本語のブログもちゃんとアップしないとね。
肝心の日本語力を落とさないためと、観た映画の感想を忘れないためにも、マメに書き留めておかなくてはなぁ。

* * * * * * * *

さて、前置きが長くなりましたが。
この系統の社会派ドキュメンタリーは、正直よほど監督の感覚と肌が合わないか、人道的に受け入れ難い価値観に基づいているものでない限り、大抵はそれなりのレベルに達している秀作が多いものです。
完全なフィクション映画と同じ舞台に立たせるのも少し違う気がします。

舞台はケニア、ウガンダ、タンザニアの三国にまたがる世界第三の湖、ヴィクトリア湖。
ヴィクトリア湖と言えば、さだまさしの「風に立つライオン」で朝焼け時に百万羽のフラミンゴが一斉に飛び立つ時、空が暗くなるアレですよ!
ともかく今から四十年ほど前、この湖に肉食の外来魚ナイル・パーチが放たれます。
全長二メートルを超すこの大型魚はたちまちその数を増やし、その生態系の多様さから進化論の提唱者の名を取って「ダーウィンの箱庭」と呼ばれていたこの湖に住む、他の固有種をほとんど駆逐してしまったのでした。
かくして湖畔の漁村では、この魚に群がりビジネスを興盛させるにわか景気に湧くことになるのです。
主な産業はナイル・パーチのフィレ加工。
毎年約8万トンものナイル・パーチがヨーロッパおよび日本に向けて旅立ち、その一方で同じ国では飢饉により200万人が飢えているという事態。
しかし、巨大な魚の輸出業の裏に隠されたある秘密がちらほらとしていることに、ごく僅かの人々は気づいているのでした。

ルワンダにおけるツチ・フツの内戦は、民族間の敵対意識を故意に煽って支配に利用したベルギーの、またはヴェトナムにおける代理戦争の黒幕であったロシアとアメリカの、常に大国の思惑と利益が複雑に絡み合って、今日も第三世界の人々は実は支払う必要のないツケに日々苛まれているのです。
これが、監督の言うところの「負のグローバリゼーション」。

更に、この種の映画の公開にまつわり必ず噴出する「信憑性」「正確さ」への議論がありますが、これはまず監督の主観を通した彼の表現物のひとつであるということが前提であり、しかし社会のひとつの風景を切り取った紛れもない真実の断片であるということが重要であると思うのです。
この負の連鎖の直接の原因が魚であるかは別として、実際に湖は緑に濁り、売春婦は一晩10ドルで体を売り、エイズを蔓延させ、浮浪児達は飢えてスチロールを溶かしたドラッグに明日を任せて道端に眠るのです。
そもそも、人々の注意を喚起すること、実際に彼の目前で繰り広げられた現実をレンズを通して人々に提唱すること、これが目的なのですから。
実際に、監督のフーベルト・ザウパーがこの映画についてこのように語っています。

生命にとって、1番危険な懸念は知らないこと、無知だと思います。私は知的な戦いとして、このグローバリゼーションというコンテキストの中で、この仮面を剥ぐ、ということを使命に感じています。

私は、『ダーウィンの悪夢』で、ある魚の奇怪なサクセス・ストーリーと、この最強の“適者”である生き物をめぐる一時的なブームを、「新世界秩序」と呼ばれるものの皮肉で恐ろしい寓話に変換しようと試みた。だから同じ内容の映画をシエラレオネでもつくることができる。魚をダイヤに変えるだけだ。ホンジュラスならバナナに、リビア、ナイジェリア、アンゴラだったら原油にすればいい。ほとんどの人は現代のこの破壊的なメカニズムについて知っているだろう。しかし、それを完全に描き出すことができないでいる。それは、知ってはいても本当には信じることができないからだ。

映画の中で主にインタビューを受けている社会の底辺の人々が、ほぼ皆理解可能なレベルの英語を話しているのが印象的でした。
まあ、これも大英帝国支配の影響の根深さを証明するひとつなのでしょうか。

目が充血しているラファエルさん

ちなみに漁業研究所の夜警ラファエルさんが、親切で思慮深いようでありながら、暗闇で背筋も凍る気味の悪いスマイルを披露してくれる様がなかなかいい味を出していまして、私、ファンです。
「賊がこのフェンスを越えたらね、・・・殺してもいいんですよ」
「しばらく見張っててね、盗みを働こうとしたら、・・・殺してもいいんですよ」と、毒矢を指先で撫でつつ嬉しそうに語る姿が。
けれども彼、喋り過ぎてしまって、この映画の公開後にマイナスイメージを払拭しようと必死のタンザニア政府の圧力により、夜警を解雇されてしまったそうなのですが。

―ああ、ママ・アフリカ。
人類発祥の地である、アフリカ大陸は人々の故郷であるはず。
数多くの動物、種族の住む生態系の宝庫であるにもかかわらず、草原に古代のままの姿で暮らす人々を除けば、この地での人類の生活はあまりに厳しく困難に満ちてはいないでしょうか。
動物園で檻に閉じ込められた悲しい動物達の夢見る美しい大地、サバンナ。
汚れたコンクリートの床に座り込む毛の抜けたライオンの姿が、私には逆にアフリカの都会の隅で辛酸を嘗めるこの映画の登場人物達と重なって見えます。
平均寿命が三十代、貧困、飢饉、旱魃、病気、戦争、環境汚染、政治不安・・・。
野生動物の楽園でありながら、皮肉にも人間としてアフリカ大陸に生まれるという運命が、失礼ながら不幸であるように思えてしまうのです。
世界の一方で都市の近代化が進むにつれ、常として周辺で前世代的な環境に暮らす人々の生活はひずんで行くものですが、多くのアフリカの問題もここにあるのでしょうか。
それとも、この大地自体がもう人類を懐に抱くことを拒絶しつつあるのでしょうか。
・・・一度、この大陸を自らの足で踏んで見ない限りはなんとも言えませんが。


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畏れ慄いて、かもめ。 [映画]

かもめ食堂を見ました。
脚本をもう少し・・・「上手い!」と言わせてほしかったけれど、これはこれでとても良いですね。
「美味そう!」とは何度も叫びましたよ。
中でも素晴らしく美味そうなトンカツに、ガツンとやられました。
明日の夕食はトンカツに大決定です。
そして女優陣が何てったってこのメンツですから、文句はありません。
久しぶりに片桐はいりを見ましたが、彼女を見るたびになぜかお友達になりたいなぁ、と思ってしまいます。
特に昨夜、雑誌クロワッサンの料理特集号にてグアテマラ帰りの彼女から教示を受けたセヴィーチェを作って食した直後だけに、その想いもひとしお。
はいりの弟、学生時代にバックパックを背負ってグアテマラに行ったきり、戻って来なくなったらしいです。
13年前に弟探しの旅に出たのが、彼女が最初にグアテマラの地に降り立った理由だったとか。
というわけで、弟が現地で結婚した料理上手のヨメから、いろいろなレシピを伝授してもらったのだそうで。
如何にもキャラクターに似合った不思議なご家族。

今日、近所を散歩中にフランス語専門の本屋を見つけました。
店に足を踏み入れた途端、久しぶりの「ボンジュール」にちょっと感激。
早速、アゴタ・クリストフの最新作「どちらでもいい」(原書)をゲット!
クリストフ初の短編集であり、過去のノートや書き付けのなかで埋もれていた習作を編集者が纏めた、クリストフのごく私的な心象風景が綴られたものだそうです。
本はとても薄く、物語もごく短いショート・ショートといったところ。
フランス語なのに、高望みし過ぎ?
いや、読めるはず・・・。
とりあえず、今読んでいるもう一冊の仏語本 Amelie Nothomb の「Stupeur Et Tremblements」を攻略してから、改めて紐解くことに致します。
これ、80年代に日本でOL生活を体験したベルギー人女性、Amelie 自身のニッポン縦シャカイの驚愕の物語なのですが、まだ半分しか読んではいないのだけれども、どうも話を誇張しすぎているような気もする・・・。
どのようなオチが来るのか、想像もつかずに読み進めています。
ちなみに2003年にはフランスで映画化もされているとのこと。
読み終わったら一見の価値ありかな。

かもめ食堂

かもめ食堂

  • 出版社/メーカー: バップ
  • 発売日: 2006/09/27
  • メディア: DVD

C' est egal.

C' est egal.

  • 作者: Agota Kristof
  • 出版社/メーカー: Volumen
  • 発売日: 2006/03
  • メディア: Perfect

どちらでもいい

どちらでもいい

  • 作者: アゴタ クリストフ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2006/09
  • メディア: 単行本

Stupeur Et Tremblements

Stupeur Et Tremblements

  • 作者: Amelie Nothomb
  • 出版社/メーカー: Hachette
  • 発売日: 2001/06
  • メディア: ペーパーバック

畏れ慄いて

畏れ慄いて

  • 作者: アメリー ノートン
  • 出版社/メーカー: 作品社
  • 発売日: 2000/12
  • メディア: 単行本


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「ジャンヌ・ダルク」(1999) - Jean of Arc フランス [映画]

監督: リュック・ベッソン
出演: ミラ・ジョヴォヴィッチ、ジョン・マルコヴィッチ、フェイ・ダナウェイ

★★★☆☆☆

フランスから帰って来て、いや、すでに在仏中からフランスの歴史を学びたくて仕方がなかったのです。
メイン・ストリームのヴェルサイユ、フランス革命、ジャンヌ・ダルクの物語の他にも、今回多くの古城や要塞にて目にして来たロマネスク様式以前の素朴で実用主義的な、原始的とも言える装飾様式の廃墟の数々が辿った運命、十字軍に根絶させられた異端の神々への信仰生活、魔女狩り、拷問の記録に残る中世の血生臭さなど・・・。

中学生時代には世界史にも地理にも微塵の興味もなかった上、高校時代は授業中も他のことに忙しく(昼寝、瞑想、早弁等)恥ずかしいまでに知識がない私なのですが、実際にある史実が繰り広げられたまさにその地に立ち、遺址を目のあたりにすると、どうして俄然興味が湧いてくるものです。

さて図書館が大好きな私としては、ここで早速ネットで関連書籍を調べ上げ、近所の区立図書館から十数冊ほど借り込んで来ては、ざっと読み飛ばしてお勉強がしたい。
そこから更に芋づる的に湧いて来る好奇心の枝葉を飽きるまで辿って、ようやくお腹がいっぱいになって満足する。
しかしせっかく仕入れた知識の大半は1ヶ月もすればすぐに忘れてしまう、といういつものパターン。
しかし、ここはカナダ。
ちょっとした調べ物のソースがすべて英語と来ては、かいつまんで情報を得るには所要時間と忍耐力が通常の5倍は必要なのです。
いや、フランス語よりはまだ良いけれどもさ。

仕方がないので、まずは小手調べにリュック・ベッソンの映画「ジャンヌ・ダルク」を観ることに。
ジャンヌが、類まれなるカリスマ性で人々を駆り立てる魅力溢れる乙女というよりは、ただヒステリックにわめき散らしている狂人にしか見えなかったことが少々残念。
聖女として祭り上げられたジャンヌにも人間としての迷いや悩みがある、というところに監督は重点を置きたかったようですが、残念ながら人として共感できるようなヒロインとは言い難いのです・・・。

リュックさんの繰り出す映像美はなかなかの豪華スペクタクルでしたが、ミラ・ジョヴォヴィッチの演技はフィフス・エレメントのリールーの時とほぼ同じで、アウアウ言いながら脅えているか、聞いているだけで喉が痛くなるような声で始終ギャーギャーわめいているかであり、大変疲れる映画でした。

↑ミラジョヴォヴィッチ ↑鳥肌実

そして当時の男性のヘアスタイルである坊ちゃん刈りにした鎧姿のミラちゃんが、どうしても鳥肌実に見えてしまう・・・。

しかし、昔から神の声を聞く人間は、如何に多かったことでしょうか。
現在でもビジネスの才覚があれば新興宗教の長となりお布施を集めている者も居れば、抗精神薬を処方されて黙る者も居るでしょう。
その点では本当に神の使いであったのかも、単なる精神障害者だったのかもしれない19歳の少女の脆さを強調しすぎるほどに描き出している点が面白いです。
さらにこの映画を作った当時、リュックはハリウッドで一躍大作を発表した直後であり、大きく宣伝していたメジャー路線の映画である割には、きちんとフランス映画特有の難解さを踏襲しており、そんなところにも思わず好感を持ってしまいました。
中世独特の重苦しさと残酷さも漏れなく表現されていて、音楽も良かったです。

そして、すばらしくタイミングの良いことに、ルームメイトの彼女が仕事で行っていた日本からヴェルサイユのばら全巻を買って帰って来ていたので、じっくり再読することができました。
これで、フランス革命はだいぶわかりました。
インターネットのおかげで、かなりの情報を補うこともできます。
・・・でも、もっと本が読みたいよ~。
北アメリカ方面に来るご予定のある皆さん、この類のジャンルの古本などご自宅に所蔵されておりましたら、ご持参の上貸与頂けますと大変ありがたいです・・・。

ジャンヌ・ダルク

ジャンヌ・ダルク

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • 発売日: 2006/09/27
  • メディア: DVD


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「Wolf Creek(邦題未定)」(2005) - Wolf Creek オーストラリア [映画]

監督: グレッグ・マクリーン
出演: ジョン・ジャレット、カサンドラ・マグラス、ケスティ・モラシ、ネイサン・フィリップス

★★★★☆☆

「オープン・ウォーター」に続き、またホントにあった事件を元にした恐怖映画を見に行ってしまいました。
怖かったよーー。
サイコスリラー系お決まりのパターンに陥ることもなく、なかなかよく出来た映画だと思います。

バックパッカーの若い男女3人が、車でオーストラリア大陸を縦断する旅に出るのですが、周囲に人影のない国立公園内で車が故障してしまい・・・というお話です。

空腹だと世の中のあらゆる苦痛への耐性が途端に通常値の30%まで減少してしまう私は、上映開始直前にR指定と聞き、そんなにも怖くて残虐な映画を見に来てしまったことを後悔。何度もやめようかと考えましたが、通路側に友人が座っていたためにさりげなく逃げ出すこともできず・・・。
またひとつ、困難を乗り越えました!
たまには心臓を鍛えに、こんな映画を見るのも悪くないです。

この類の映画はネタバレになると面白くないため何も書きませんが、これだけは全てに共通するので、敢えて言わせて。
「とどめは、させ。」

恐怖シーンの他にも、オーストラリアの素晴らしい自然が大画面で見られる、ロードムービー的な要素もあるところがお勧めです。
やっぱり憧れるなぁ、大陸の大自然、広大な地平線。
一緒に見に行った友人はオーストラリア出身のため、少し切なくなっていたようでした。
ジョン・ジャレットは、本国では良いお父さんキャラとしてお茶の間に出まくりの人気タレントだそうで。日本で言えば地井武男とか菅原文太?従ってかなり意外なキャスティングだそうです。
登場人物によってはオージー訛りが激しすぎて、何を言っているのかよくわからず、フランス語の字幕をみて何とか理解しようと努めました。

しかし、オーストラリアもしかり、数ヶ月前にもグランド・キャニオンを単身車で横断していた日本人女性が遺体で発見された事件がありましたが、周囲百キロ四方に渡って人影も文明もない、そんな環境に身を置くのって惹かれもしますが、かなりゾッとするものがありませんか?
ただ砂漠の真ん中で車が故障してしまうというだけでも・・・。

↓この映画のモデルになったという実際の事件です。

●1989~92年 ベラングロ州立公園内のバックパッカー連続殺人事件
http://www.geocities.jp/suishin_ryu/australiancrimes3.htm

●1995~99年 スノー・タウンの男女12人猟奇殺人事件
http://www.nichigo.com.au/news/nat0310/shak01.htm

●1986~87年 フリマントルのバーニー夫妻連続強姦殺人事件
http://www5b.biglobe.ne.jp/~madison/murder/text/birnie.html

急に、オーストラリアが怖くなっちゃいましたね。
例のオープン・ウォーターの実話も舞台はオーストラリアなんですよっ。


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「VOLVER(邦題未定)」(2006) - VOLVER スペイン [映画]

監督: ペドロ・アルモドヴァル
出演: ペネロペ・クルズ、カルメン・マウラ

★★★☆☆☆

ペネロペ、この世で抜きん出て美しい・・・。

フランスに居る限りは、坂道を転げ落ちるが如くの情熱の傾注を食い止めるたがめスペインものは自粛中とは言え、こうも大々的に巨匠アルモドヴァルの新作の看板を街中に目にしてご覧なさい。
もともとすることもなくヒマなのですから、やはり見に行ってしまいました。
ミラノで電車の発車時刻まで11時間をひとりで潰さなければならなかった時以来の、映画鑑賞。
ちなみに、イタリア語で観る映画はどうせわからないので、原作を半分ほど読んだ「ダヴィンチ・コード」にしてみました。
トム・ハンクスが全編に渡りイタリア語を喋っていました・・・。
せめて字幕にしてほしい。

さて、話を「VOLVER」に戻しまして。
映画自体への感想はと問われれば、自粛中ながら私が過去に観た彼の作品の中でも、暴走する情熱、捻り上げるられような切なさ、全身を委ねたくなる倒錯、どれにもいまひとつ欠けていました。
しかし、彼の歌へ対する多大な献身とそこへ捧げられたドラマだけは失われることなく、吹き替えとは言えペネロペのタンゴ熱唱シーンは、今年の欧州の灼熱の太陽に疲れ気味の私たちの脳にも、キリッと冴えた気付け薬の一滴のようにカラフルな快感の一瞬を味わわせてくれました。
ああ、タンゴ・・・・!
君の名を聞くだけで切ない・・・。

まあ、スペイン語映画+フランス語字幕ですので、私がどこまで理解したかと詰め寄られれば、まったく恐縮するばかりですけどねっ。

しかし、何と言っても、ペネロペなのです。
彼女の魅力が全てを凌駕しています。
アルモドヴァルのような人物は、一度はあの美を存分に描かなければならなかったのでしょう。
ハリウッドでの彼女はよく知りませんが、私の中でのいい女ナンバーワンも、やはりペネロペ・クルズです。
ゴダールの中国女のジュリエット・ベルト、デボン青木など、普段は好きな「女」に詩情や一癖ある風情を条件にしている私も・・・
変態の名をほしいがままにしているアルモドヴァルがヘテロ全開でがっぷり四つに取り組んでしまうくらい・・・
ペネロペは、正統派に美しい。
明日から、私のアイラインが心持ちキツくなるのは避けがたいことでしょう。

彼女の少女のように小ぶりな上向きの顎に愛くるしくまとまった顔立ち、腰の辺りに気だるく纏った成熟した女の身幅、ハスキーな声にも感じられる路地裏で洗濯物を取り込む小母さんのようなどっしりした安定感。
そしてシリアスな展開ながら、この底抜けの明るさが、彼の国スペインを象徴しているのでしょうか。
いつものことながら、アルモドヴァルの色彩には彼の地への焦燥を一層掻き立てますね。
次は、スペインです。
ええ。


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「ウェルカム・ドールハウス 」(1995) - Welcome to the Dollhouse アメリカ [映画]

監督: トッド・ソロンズ
出演: ヘザー・マタラーゾ、ブレンダン・セクストンjr

★★★★★☆

11歳の苛められっ子、ドーンの物語。
苛められている理由は「ブスだから」。

それにしても、ソロンズ監督のキャスティングの妙はもう奇跡ですね。
ドーン役のヘザーちゃん、一体何処から連れて来たのでしょう??
牛乳瓶底メガネに、ボケーッと開いた締まりのない口、白ブタのようなポッチャリ体系、愛想の欠片もなく、奇想天外なファッションセンス。
外見は、実はちょっぴり小学生時代の私に似ている気がするのですが。。。
違うのは、苛め抜かれても決して屈しない、ふてぶてしい態度。

そして、憎ったらしいほど可愛い、ちゃっかりしたあの小娘の妹!
なぜか始終くるくるくるくるバレエを踊っている。
奇妙な顔をし、独自の理論と世界観をとうとうと話すオタクの兄、マーク。
彼女を憎み軽蔑するクラスメイトのロリータにしても、あんな気だるく曇った目をした子供がいるとは・・・。

母親は妹を露骨にえこひいき、先生にも嫌われ、クラスメートの意地悪にやり返せば、いつも自分に説教のお鉢が廻ってきてしまう・・・。
けれどもドーンはさめざめとした涙も、惨めさの片鱗も見せはしない。
彼女が心の中で憎悪と反抗を掻き立てる度に、ジャーンと流れるロックなエレキギター音。
それだけに、母がデザートのケーキをドーンにだけ分け与えなかったシーンには、涙が出ました。
母親の気持ちもわかるほどに、憎たらしいんですけどね。

物語が進行して行くにつれ、ドーンを取り巻く状況は悪化して行くばかりで、救いのないお話なのだけど、彼女は持ち前の頑強さでしっかりとそこに頑張っており、悲惨さはないのです。
ブスだって、苛められていたって、自分の道を生きる権利はある!
この態度が素晴らしい。
往々にして苛められっ子は、自分を責めたり自信を失くしたりするものだけれど。
高嶺の花である年上のプレイボーイに一方的に恋をし、ヨダレを垂らさんばかりの欲情ぶり。
友達からされた意地悪を妹にする陰険さ、それを親に叱られると、今度は悪態を付きながら、こっそり妹のお人形の首を包丁でゴリゴリ。
さらに「テメー犯すぞブス」と凄む苛めっ子ボスの男子が抱く恋心を、実は手の中で転がしていたりと、彼女ならこの先も大丈夫に違いない、そんな頼もしさを感じさせてくれるのです。

苛められている子にこの映画を見せて、ドーンのようにしぶとく生きる術を見につけてもらいたい。
異常に気の弱かった昔の私に見せたかったよ。

さらに監督、人間の形容し難いが何とも言えない「憎たらしさ」「いやらしさ」を醸し出すのが超一級にお上手なのです。
ブラックだが、なぜかユーモラスな一本でした。

しかし、番外編で悲しいお知らせが。
「おわらない物語 アビバの場合」の冒頭、この兄マークの成人した姿が見られます。
妹の葬式で答辞を述べる彼。
そう、このお話の冒頭で、結局ドーンは自殺してしまっているのです。
徹底的に報われない物語。
されど、これも真実。


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「おわらない物語 アビバの場合」(2004) - Palindromes アメリカ [映画]

監督: トッド・ソロンズ
出演: エレン・バーキン、ジェニファー・ジェイソン・リー、マシュー・フェイバー

★★★★★★

また素晴らしい映画を発掘してしまいました!
知らずに居ましたよ、この監督。
トッド・ソロンズ。
彼の他の作品も全て観なければ!

「子供のころ、子供がほしかった。」
溢れんばかりの毒を盛った可愛らしく残酷なおとぎ話です。
そして、全編に流れるカーディガンズのニーナが囁く子守唄。

私としては、未だに少女であった自身の続きであるという自負があるため、大人になってしまった今でも、懐かしき少女の異様さ、感受性の尖端を仄めかされますと、失った少女の日々の暗い魔法の世界を思い出してしまい、このような映画には無条件降伏してしまうのです。

私の大のお気に入り、ロバート・アルトマンの「三人の女」に続き、オッサン監督にこれほどまで細やかに少女の感性が描けるというのは不可思議です。

しかし、この映画では少女の心の裏の暗黒というよりは、むしろ純粋無垢なままに持てるものを差し出すしかない少女の、現実世界との必ずしも清く尊くない対決の様を描いています。
少女が胸に温める愛情、憧れと、パックリ開いた現実との赤い断層とが物哀しく美しいファンタジーで彩られているのです。
先日、暴露致しました私の映画製作への(挫折した?)夢ですが、私が撮るとしたらこんな映画が撮りたいと心から思いました。

政治的なアイロニーが、残酷の国のアリス、アビバの彷徨う現実世界の刃のひとつとして極端な形で描かれています。
中絶反対運動者の少々ヒステリックで過剰な行動を皮肉っているのです。

行き場を失ったアビバがたどり着く、無償の愛の家。
これがまた、偽善と狂信とフリークスの世界を彷彿とさせるおとぎの国。

アメリカ中部および南部は「ジーザスランド」または「テキサス合衆国」(テキサスはブッシュの出身地。ブッシュの弟が州知事のお膝元)と呼ばれ、サンフランシスコ、ロサンジェルス、ニューヨーク、シカゴなどの近代的大都市圏を擁するカリフォルニア州、ニューヨーク州、イリノイ州など19州を文化・思想的類似点のあるカナダと併せ「カナダ合衆国」として分断し、独立しようというジョークがあります。
※「ジーサスランド・マップ」については こちら を参照

ジーザスランドの民衆は、あくまでも傾向としての話ですが、比較的低学歴でかつ、盲目的なカトリック信仰、強烈な愛国心を持っているとされます。
主にカトリック的モラルによりブッシュの中絶、同性愛者の結婚、遺伝子操作研究反対政策に賛同しています。(しかしブッシュは死刑執行と銃所持は譲れないらしい)

さらに厳格なカトリック教徒には、中絶どころか子孫を作る目的以外でのセックスはあり得ませんから、コンドームの存在自体が神の意思に沿わないとして、反対しているのです。
現に、アフリカ諸国におけるエイズの母子感染による小児への蔓延、望まない妊娠、インドなどにおける人口調節の問題に対して、カトリック団体は避妊具反対キャンペーンを行い、NGOによる後進国での避妊具配布に圧力を掛けています。

ですから、映画中に出て来る狂信的な中絶反対団体の様子も、あながち誇張ばかりでもないわけですね。

そして、ダブルキャストならぬ、8×キャスト!
ルイス・ブニュエルの「欲望のあいまいな対象」では、コンチータという名の女が二人の女優によって演じ分けられており、彼女のつかみ所のなさ、対象の曖昧さが素晴らしく引き立っておりました。
うっかり者の私は、最終カットまでこの二人が別人であったことに気が付かなかったのですが、この「おわらない物語」では、見逃しようがありませんよ。
何しろ、アビバは各チャプター毎に顔立ちはおろか体系、年齢、人種、性別まで飛び越えてメタモルフォーゼしていますから。

難解だとかキャスティングの構想の奇抜さが無意味だなどという批評を読みましたが、監督がインタビューで話している通り、これはシンプルな家族の物語。
私には何の抵抗もなくこの8人が同一人物の感性を持つアビバであることが受け容れられました。
自己と幸せを見出そうとこの残酷な世界で生き続ける小さき人のお話です。

しかし、アメリカで子育てするのは怖いね。

おわらない物語~アビバの場合~

おわらない物語~アビバの場合~

  • 出版社/メーカー: ビデオメーカー
  • 発売日: 2005/12/02
  • メディア: DVD


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「ムーラン・ルージュ」(2001) - Moulin Rouge! アメリカ [映画]

監督: バズ・ラーマン
出演: ニコール・キッドマン、ユアン・マクレガー

★★☆☆☆☆

食わず嫌いでついぞ今まで観ずに来たが、思い入れは深かったこの映画。
というのも、私はこの映画について当時わずか数回目のデート中であった夫Rと初のケンカをしたのでありました。
「あんなバカバカしいのは観る気にならん」と言い放った私に、彼はウンザリするほどしつこく、如何にこの映画が素晴らしいかをくどくどと説明するわけです。
"バカバカしい"という表現を訂正させたいようで、そうは言っても確かにバカバカしいと感じた自分の感性は撤回したくない、でも実際にはまともに観ていないので反撃する材料も持ち合わせず、語彙も足りないよっていうかそんな映画のことはもういいじゃんっ。
「うるさいな!どうでもいいよ!!」とつい感じ悪く遮ってしまい、沈黙・・・。
気まずくその夜は更けました。

ニコール・キッドマンとユアン・マクレガー。
そんな組み合わせ、違和感ありすぎです。
テレビで流れるCMでは歯の浮きそうなセリフに、如何にも陳腐なメロドラマ全開の予感で、まったく食指が動かない。
そんな時、海外行きの飛行機の中でこの映画が流れていました。
途中から何気なく観始めたところ、ちょっと歌のうまいユアンが大カラオケ大会のごとく往年のアメリカン・ヒットソングを一節ごとに繰り出しては愛をかき口説くあのシーン・・・。
そして突然お互い数センチの至近距離で顎が外れんばかりの大口を開けて愛の大合唱。
ああッ、鳥肌が・・・。
ごめんなさい、それ以上は無理でした。

しかし、やはり食わず嫌いはいけませんね。
見る価値は充分にありだと思います。
彼との確執の一件があったからこそ、今こうして改めて観ることにしたのですからね。


まるでミュージックPVのような細部まで作り込んだ濃厚な映像、独特なカット割、絢爛な舞台のスペクタクル、めくるめく衣装の色彩、往時のパリ、ムーラン・ルージュを豪華でキッチュな紙芝居のような表現方法で描き出し・・・。
大好きです。

しかし、ユアンの愛、唐突かつ直球過ぎて、気持ち悪い。
それも、みえみえな演技でお約束通りに女にフラれたと思ったら、今度は衆目憚らず淫売呼ばわりですよ?
アメリカン・懐メロポップス特集もアイディアはいいのですが、ここまでベタにやる必要性が感じられないし・・・。
フランス人、嫌いそうだな~、この映画。
おふざけの部分もかなりイタかったです。
ニコールにはあまり向いていないのではないでしょうか、ここまでコミカルなことをさせるのは。

豪華で濃厚な十段構えのビロードの下地の上で、ハリウッド的ハチャメチャ詰め込み悲喜劇を、取りあえずやってみたかったんですよね、ラーマン監督!
これは・・・、そうだ、ディズニー映画だ!
それにしては最後はまた随分と悲しい幕切れだけれども。
Rよ、撤回しません。
今度は胸を張って言うぞ。
この映画はバカバカしい。

と、ようやく聞く耳を持った私に彼が語ったこの映画の素晴らしさとは・・・。
この監督はステレオ・タイプの極めてクサく軽薄なメロドラマを故意に可能な限りにヒドく作って観客に投げ、自分は影でその反応を見てほくそ笑んでいるのだというのです。
自らがパロディとなって、自虐的にフザケているのだと。
現に衆評は「大好き/死ぬほど嫌い」の二極に分かれていがみ合っているので、彼の目論見は成功なのだと!
そんなっ、人を小バカにした話があるかッ!!
絶賛も酷評も、所詮は監督の掌の上ってこと??

そこでRが引き合いに出したのが、ジム・キャリーが「マン・オン・ザ・ムーン」で演じた、早過ぎた天才コメディアンとも、人をどうしようもなく苛立たせる奇行癖の持ち主とも評されたアンディ・カウフマン。
彼もまた、ショーでの別人格を現実世界においても名乗り、現実と虚構世界との境界を曖昧にし、他者もろとも自らをも笑い飛ばす新しい芸風で、全米のお茶の間を狂乱に陥れたとのだとか。
ようするに、ギャグと取った人には最高のジョークであるか、または悪趣味でやり過ぎの芸と取るか、或いは全くのナンセンスか。
世評は二極化したのだそうです。
しかもその行動が芸としての故意なのか、ただの人格障害だったのか、未だに論争が続いているとかいないとか・・・。
相変わらず嫌悪感いっぱいのジム・キャリーですが、「トゥルーマン・ショー」が素晴らしかったので、この作品も観ることにしましょう。
っていうか、ここまで言われちゃ観ないわけには行かないわ。
毒を食らわば皿まで。
-え?使い方、間違ってる?


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困惑顔のジャン・レノ [映画]

先日、絶賛致しました「ホテル・ルワンダ」でジャン・レノがオマケ出演していたため、急に彼の映画が観たくなったのです。
「WASABI」のジャン・レノは、ヒロスエにすっかり振り回されていて面白い、と聞いていたので観てみました。
・・・辛かったです。

あまりにバカバカしいし、イライラしてしまって最後まで観るのがやっとでした。
ヒロスエさんが大好きな方なら、楽しめると思いますが。
私にはキツかったでござるよ。
おまけに入手したのが英語吹き替え版だったのですー。
英語+日本語を全編にわたり別人が吹き替えているのですが、これがまた酷くて・・・。
「ヒロスエが頑張ったフランス語」さえも聞けず、利点なし。

っていうか、これオリジナルだと英語の部分は全部フランス語なんでしょ?
一般日本人って、こんなにフランス語しゃべれたのか!

日本のイメージも、うわべだけで超ステレオタイプだしなぁー。
リュックさん、クラウジック監督さん、イマイチですよん。
もう見飽きましたわ、こんなの。
ソフィア・コッポラお嬢に全然負けてますわ。
タランティーノくらいぶっ飛ぶか、ヴェンダースくらい誠実さを見せるかしてほしい。
浅いし、ダサい。
失礼。

WASABI

WASABI

  • 出版社/メーカー: パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
  • 発売日: 2004/05/28
  • メディア: DVD


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「ホテル・ルワンダ」(2004) - HOTEL RWANDA カナダ/イギリス/イタリア/南アフリカ [映画]

監督: テリー・ジョージ
出演: ドン・チードル 、ソフィー・オコネドー 、ホアキン・フェニックス

★★★★★★

主題は重いですが、是非観てください。
すごく良い映画でした。

「ツチのゴキブリどもを根絶やしにしろ!!」
1994年にルワンダで起きた、100日間で100万人が殺されたという大規模な民族間紛争。
激しさを増す戦局の中、全ての外国人を国外に避難させた後、フランス、イギリス、アメリカ・・・ついに国連もが手を引き、世界に黙殺されることになってしまったこの大殺戮。
「見捨てないで!私、殺されるわ!」とすがる恋人のツチ女性に有り金を押し付け、自らの恥を噛み締めながらも去って行く白人記者。
自分可愛さとは言え、命がかかっているのです。
一方的に責められはしません。
私は国際結婚していますが、もし世界情勢が大きく変わってこのような立場に置かれたとしたら、一体どうするのでしょう。

「電話で国外の知人に助けを求めなさい。受話器越しに彼らの手にすがり、その手を離したら貴方達が確実に死ぬことを訴えなさい。助けない彼らにその恥辱を思い知らせるのです。」
後にアフリカのシンドラーと称されたホテルの支配人ポールは、ホテル内に残されたルワンダ人難民達に訴えます。

ところでこの映画は当初日本公開のめどが立たず、『ホテル・ルワンダ日本公開を求める会』 なるものが発足して4000通を超える署名を集め、ついに公開に漕ぎ着ける、という経緯があったのですね。
米アカデミー賞にノミネートされたことで映画の付加価値が上がり、高額の配給料を支払った上で採算を取るには、出演者の知名度や映画のテーマに難点があると判断されたためだそうです。
所詮、映画配給もビジネスですから、採算が取れないと評価された場合、どんな大作であっても公開不可能ということがあり得るのですね。
ともあれ、運動が功を奏して、日本でも公開の運びとなったことは喜ばしいことです。

主人公のポールはタイガー・ウッズを思わせる清潔な笑顔で、とても爽やかさんです。
妻のタチアナは「堕天使のパスポート」でファンキーな娼婦の姉ちゃん役を演じた人ですね!
まったく違う雰囲気になってしまうから、役者は凄い。
そして、クレジットには出ていませんが、ジャン・レノがサービス出演しています!
前髪を櫛でピチッと撫で付け、英語を喋るジャン・レノ。
いいもの見ました。

それにしても事件の背景を探ると・・・パレスチナ問題同様、諸悪の根源にはいつも欧米列強の干渉が欠かせないものなのですね。
特にルワンダにおけるツチ・フツの内戦には、ベルギーに重大な責任があります。
彼らはこの地に元々あったツチ・フツの容姿的違いを自らの白人至上主義的人種理論に当てはめ、それをルワンダの支配に利用し、結果彼らの社会的・精神的分裂を決定的なものにしたのです。

この映画には、実際に虐殺の現場を目撃した体験者の人々が多くエキストラ出演しているのだとか。
フツ蜂起の象徴シャツのデザインがなかなか素敵なのですが、実際の事件でこのデザインが使用されたのだとすれば、虐殺の対象になったツチの人々にとっては禍々しく恐怖の象徴であっただろうと思います。
できれば思い出すことさえ避けたい経験に違いないのに、彼らの多くは映画によって世界に事件の全容を知らせたいと願い、出演に協力をしたのだそうです。

挿入歌がまた良くて、ラストの子供達の合唱から始まる「ルワンダ!ルワンダ!アメリカ合衆国があるのなら、できるはずさアフリカ合衆国」と歌う主題歌に涙が止まらなくなってしまいました。
サントラを買って、思い出し泣きをしようと思います。



Hotel Rwanda

Hotel Rwanda

  • アーティスト: Original Soundtrack
  • 出版社/メーカー: Commotion/United Artists/Lions Ga
  • 発売日: 2005/01/11
  • メディア: CD


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