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「ムーラン・ルージュ」(2001) - Moulin Rouge! アメリカ [映画]

監督: バズ・ラーマン
出演: ニコール・キッドマン、ユアン・マクレガー

★★☆☆☆☆

食わず嫌いでついぞ今まで観ずに来たが、思い入れは深かったこの映画。
というのも、私はこの映画について当時わずか数回目のデート中であった夫Rと初のケンカをしたのでありました。
「あんなバカバカしいのは観る気にならん」と言い放った私に、彼はウンザリするほどしつこく、如何にこの映画が素晴らしいかをくどくどと説明するわけです。
"バカバカしい"という表現を訂正させたいようで、そうは言っても確かにバカバカしいと感じた自分の感性は撤回したくない、でも実際にはまともに観ていないので反撃する材料も持ち合わせず、語彙も足りないよっていうかそんな映画のことはもういいじゃんっ。
「うるさいな!どうでもいいよ!!」とつい感じ悪く遮ってしまい、沈黙・・・。
気まずくその夜は更けました。

ニコール・キッドマンとユアン・マクレガー。
そんな組み合わせ、違和感ありすぎです。
テレビで流れるCMでは歯の浮きそうなセリフに、如何にも陳腐なメロドラマ全開の予感で、まったく食指が動かない。
そんな時、海外行きの飛行機の中でこの映画が流れていました。
途中から何気なく観始めたところ、ちょっと歌のうまいユアンが大カラオケ大会のごとく往年のアメリカン・ヒットソングを一節ごとに繰り出しては愛をかき口説くあのシーン・・・。
そして突然お互い数センチの至近距離で顎が外れんばかりの大口を開けて愛の大合唱。
ああッ、鳥肌が・・・。
ごめんなさい、それ以上は無理でした。

しかし、やはり食わず嫌いはいけませんね。
見る価値は充分にありだと思います。
彼との確執の一件があったからこそ、今こうして改めて観ることにしたのですからね。


まるでミュージックPVのような細部まで作り込んだ濃厚な映像、独特なカット割、絢爛な舞台のスペクタクル、めくるめく衣装の色彩、往時のパリ、ムーラン・ルージュを豪華でキッチュな紙芝居のような表現方法で描き出し・・・。
大好きです。

しかし、ユアンの愛、唐突かつ直球過ぎて、気持ち悪い。
それも、みえみえな演技でお約束通りに女にフラれたと思ったら、今度は衆目憚らず淫売呼ばわりですよ?
アメリカン・懐メロポップス特集もアイディアはいいのですが、ここまでベタにやる必要性が感じられないし・・・。
フランス人、嫌いそうだな~、この映画。
おふざけの部分もかなりイタかったです。
ニコールにはあまり向いていないのではないでしょうか、ここまでコミカルなことをさせるのは。

豪華で濃厚な十段構えのビロードの下地の上で、ハリウッド的ハチャメチャ詰め込み悲喜劇を、取りあえずやってみたかったんですよね、ラーマン監督!
これは・・・、そうだ、ディズニー映画だ!
それにしては最後はまた随分と悲しい幕切れだけれども。
Rよ、撤回しません。
今度は胸を張って言うぞ。
この映画はバカバカしい。

と、ようやく聞く耳を持った私に彼が語ったこの映画の素晴らしさとは・・・。
この監督はステレオ・タイプの極めてクサく軽薄なメロドラマを故意に可能な限りにヒドく作って観客に投げ、自分は影でその反応を見てほくそ笑んでいるのだというのです。
自らがパロディとなって、自虐的にフザケているのだと。
現に衆評は「大好き/死ぬほど嫌い」の二極に分かれていがみ合っているので、彼の目論見は成功なのだと!
そんなっ、人を小バカにした話があるかッ!!
絶賛も酷評も、所詮は監督の掌の上ってこと??

そこでRが引き合いに出したのが、ジム・キャリーが「マン・オン・ザ・ムーン」で演じた、早過ぎた天才コメディアンとも、人をどうしようもなく苛立たせる奇行癖の持ち主とも評されたアンディ・カウフマン。
彼もまた、ショーでの別人格を現実世界においても名乗り、現実と虚構世界との境界を曖昧にし、他者もろとも自らをも笑い飛ばす新しい芸風で、全米のお茶の間を狂乱に陥れたとのだとか。
ようするに、ギャグと取った人には最高のジョークであるか、または悪趣味でやり過ぎの芸と取るか、或いは全くのナンセンスか。
世評は二極化したのだそうです。
しかもその行動が芸としての故意なのか、ただの人格障害だったのか、未だに論争が続いているとかいないとか・・・。
相変わらず嫌悪感いっぱいのジム・キャリーですが、「トゥルーマン・ショー」が素晴らしかったので、この作品も観ることにしましょう。
っていうか、ここまで言われちゃ観ないわけには行かないわ。
毒を食らわば皿まで。
-え?使い方、間違ってる?


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