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「ダーウィンの悪夢」(2004) - Darwin's Nightmare フランス=オーストリア=ベルギー [映画]

監督: フーベルト・ザウパー

★★★★★☆

実質、7ヶ月ぶりの映画レビューです。
以前に比べれば少ないと言え、その間も結構映画は見たのですが、・・・サボっていました。
中には何とも言い難い映画(ハリウッド系や韓国モノ)も多く、レビューのしようがなかったのが、そのまま習慣化してしまった感じで。
007 カジノ・ロワイヤルとかね。最後まで観るのが苦痛だったな・・・。

ところで Facebook って知っていますか?
英語版の mixi みたいなものです。
更に mixi にゆびとまを足したような・・・、卒業した学校や過去の仕事上の人脈を取り戻し、更に現在の友達網を皆に見せびらかそう、といった感じの趣旨でございます。
本名と顔写真を公開している参加者が圧倒的に多く、ネットのみの繋がりというよりは、実生活における人間関係そのものが一目瞭然となっているため、 mixi に比べるとプライバシーの感覚は低めです。
私の本名を知っている方は検索してみてください。ちなみに新姓です。
先日、二度目の招待を受けたため、試しに参加してみました。
そこに気紛れでこの映画のレビューを書いてみたんですが、英語の勉強にもなるし毎回一口感想文くらいは日記代わりに書くかな、と軽めの決心をしてみたところでして。
それなら本家の日本語のブログもちゃんとアップしないとね。
肝心の日本語力を落とさないためと、観た映画の感想を忘れないためにも、マメに書き留めておかなくてはなぁ。

* * * * * * * *

さて、前置きが長くなりましたが。
この系統の社会派ドキュメンタリーは、正直よほど監督の感覚と肌が合わないか、人道的に受け入れ難い価値観に基づいているものでない限り、大抵はそれなりのレベルに達している秀作が多いものです。
完全なフィクション映画と同じ舞台に立たせるのも少し違う気がします。

舞台はケニア、ウガンダ、タンザニアの三国にまたがる世界第三の湖、ヴィクトリア湖。
ヴィクトリア湖と言えば、さだまさしの「風に立つライオン」で朝焼け時に百万羽のフラミンゴが一斉に飛び立つ時、空が暗くなるアレですよ!
ともかく今から四十年ほど前、この湖に肉食の外来魚ナイル・パーチが放たれます。
全長二メートルを超すこの大型魚はたちまちその数を増やし、その生態系の多様さから進化論の提唱者の名を取って「ダーウィンの箱庭」と呼ばれていたこの湖に住む、他の固有種をほとんど駆逐してしまったのでした。
かくして湖畔の漁村では、この魚に群がりビジネスを興盛させるにわか景気に湧くことになるのです。
主な産業はナイル・パーチのフィレ加工。
毎年約8万トンものナイル・パーチがヨーロッパおよび日本に向けて旅立ち、その一方で同じ国では飢饉により200万人が飢えているという事態。
しかし、巨大な魚の輸出業の裏に隠されたある秘密がちらほらとしていることに、ごく僅かの人々は気づいているのでした。

ルワンダにおけるツチ・フツの内戦は、民族間の敵対意識を故意に煽って支配に利用したベルギーの、またはヴェトナムにおける代理戦争の黒幕であったロシアとアメリカの、常に大国の思惑と利益が複雑に絡み合って、今日も第三世界の人々は実は支払う必要のないツケに日々苛まれているのです。
これが、監督の言うところの「負のグローバリゼーション」。

更に、この種の映画の公開にまつわり必ず噴出する「信憑性」「正確さ」への議論がありますが、これはまず監督の主観を通した彼の表現物のひとつであるということが前提であり、しかし社会のひとつの風景を切り取った紛れもない真実の断片であるということが重要であると思うのです。
この負の連鎖の直接の原因が魚であるかは別として、実際に湖は緑に濁り、売春婦は一晩10ドルで体を売り、エイズを蔓延させ、浮浪児達は飢えてスチロールを溶かしたドラッグに明日を任せて道端に眠るのです。
そもそも、人々の注意を喚起すること、実際に彼の目前で繰り広げられた現実をレンズを通して人々に提唱すること、これが目的なのですから。
実際に、監督のフーベルト・ザウパーがこの映画についてこのように語っています。

生命にとって、1番危険な懸念は知らないこと、無知だと思います。私は知的な戦いとして、このグローバリゼーションというコンテキストの中で、この仮面を剥ぐ、ということを使命に感じています。

私は、『ダーウィンの悪夢』で、ある魚の奇怪なサクセス・ストーリーと、この最強の“適者”である生き物をめぐる一時的なブームを、「新世界秩序」と呼ばれるものの皮肉で恐ろしい寓話に変換しようと試みた。だから同じ内容の映画をシエラレオネでもつくることができる。魚をダイヤに変えるだけだ。ホンジュラスならバナナに、リビア、ナイジェリア、アンゴラだったら原油にすればいい。ほとんどの人は現代のこの破壊的なメカニズムについて知っているだろう。しかし、それを完全に描き出すことができないでいる。それは、知ってはいても本当には信じることができないからだ。

映画の中で主にインタビューを受けている社会の底辺の人々が、ほぼ皆理解可能なレベルの英語を話しているのが印象的でした。
まあ、これも大英帝国支配の影響の根深さを証明するひとつなのでしょうか。

目が充血しているラファエルさん

ちなみに漁業研究所の夜警ラファエルさんが、親切で思慮深いようでありながら、暗闇で背筋も凍る気味の悪いスマイルを披露してくれる様がなかなかいい味を出していまして、私、ファンです。
「賊がこのフェンスを越えたらね、・・・殺してもいいんですよ」
「しばらく見張っててね、盗みを働こうとしたら、・・・殺してもいいんですよ」と、毒矢を指先で撫でつつ嬉しそうに語る姿が。
けれども彼、喋り過ぎてしまって、この映画の公開後にマイナスイメージを払拭しようと必死のタンザニア政府の圧力により、夜警を解雇されてしまったそうなのですが。

―ああ、ママ・アフリカ。
人類発祥の地である、アフリカ大陸は人々の故郷であるはず。
数多くの動物、種族の住む生態系の宝庫であるにもかかわらず、草原に古代のままの姿で暮らす人々を除けば、この地での人類の生活はあまりに厳しく困難に満ちてはいないでしょうか。
動物園で檻に閉じ込められた悲しい動物達の夢見る美しい大地、サバンナ。
汚れたコンクリートの床に座り込む毛の抜けたライオンの姿が、私には逆にアフリカの都会の隅で辛酸を嘗めるこの映画の登場人物達と重なって見えます。
平均寿命が三十代、貧困、飢饉、旱魃、病気、戦争、環境汚染、政治不安・・・。
野生動物の楽園でありながら、皮肉にも人間としてアフリカ大陸に生まれるという運命が、失礼ながら不幸であるように思えてしまうのです。
世界の一方で都市の近代化が進むにつれ、常として周辺で前世代的な環境に暮らす人々の生活はひずんで行くものですが、多くのアフリカの問題もここにあるのでしょうか。
それとも、この大地自体がもう人類を懐に抱くことを拒絶しつつあるのでしょうか。
・・・一度、この大陸を自らの足で踏んで見ない限りはなんとも言えませんが。


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ken

アフリカもどこにまず降り立つかでずいぶん印象も違うんでしょうね。
僕は「ブラッド・ダイヤモンド」でも少し出てきたギニアに行ったことがありますが、
ここにも酷いアフリカの現実がありました。
思わず脱力してしまいそうなほど、どうしようもない現実が。
by ken (2007-06-14 01:24) 

meg

kenさん、ありがとうございます。
ブラッド・ダイヤモンド、私も観ました。
kenさんは実際にアフリカへ行かれたことがあるんですか?
私も、恐怖半分、でも絶対に訪れたい場所のひとつです。
by meg (2007-06-14 07:41) 

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