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「皇帝ペンギン」(2005) - La Marche de l'empereur フランス [映画]

監督: リュック・ジャケ
出演: ペンギン、アザラシ

★★★★★☆

ボーナス版のメイキングと併せて観ました。
フランス映画ではありますが、フランス語のお勉強になったかと言うと・・・、ごめんなさい。英語吹き替え版で観ました。。。

ところで、ネット上のレビューを読んで思ったのですが、ペンギンにセリフを言わせているバージョンがあるのでしょうか?
オリジナルのフランス語版もそうみたいですね。
・・・それはキツイかな。
圧巻で雄大な自然に人間の感情を無理やり当てはめて、チンケなセリフなどを言わせたら、スケールが狭められてせっかくのドラマが台無しになってしまうと思うのですが。
まあ、子供にはいいかもしれないけど。
機会があったら、仏語版も一度観てみます。

それにしても、この世界を作ったのが神様だとしたら、彼はなかなかのアーティストですよね。
南極の景観は奇跡です。
他者の賞賛の目に触れることもない不毛の地に忽然と"在る"巨大な氷のオブジェ、夜空を走るオーロラ、僅か数分間の昼をもたらし地平線を水平に滑っていく太陽、この世に存在するあらゆる紫色がグラデーションを成す明け方の空。
そしてそんな風景の中、黙々といていく一列の黒い人影・・・いや、ペンギンだ!
シュールです。
マグリットの絵に出て来る帽子のオジサン達のようにも、カオナシにも見えます。

映画を観ている間中、「いったいどうやって撮ったんだろう??」という疑問が絶えずあったのですが、メイキングでこの謎が解けます。
ただ、ひたすら、シンプルに、頑張って、撮っていたのですね。
「WATARIDORI」では、鳥達の刷り込みの習性を利用して撮影隊のセスナを親と思い込ませたりなど、「なぁるほどねぇ」というタネが結構あったものですが、一方のペンギンの撮影者達は毎日せっせとキャンプからペンギンの元へとソリに機材を乗せて歩いて行っていたのです。
寒すぎて一日に数時間の撮影が限度な環境。
指や肺がものの数秒で凍る-60度の雪嵐の中で道に迷い、重度の凍傷を負って1ヶ月間のドクターストップを言い渡されたりしながら。

そして、自然とは、何なのでしょうね・・・。
あらゆる複雑な要素すべてが完全に整合しあっているようにも、まったく合理的ではないようにも思えます。
多くの犠牲、無駄、不必要にも見える過酷な忍耐・・・。
人間の社会では基本的人権により、全ての人々の命は尊重され守られるべきであり、死は忌み恐れ、全力で追放するべきだとされています。
しかし自然の淘汰の前では、消え去る運命もまた必然のように感じられてなりません。
一方、地球上のほぼすべての種族が強烈な本能の導きによって、命を掛けて子孫を残そうともがく中、人類は自らの意思で子孫を残さない道を選ぶこともできます。
もう私たちは自然の一部ではないのでしょうか?
しかし、この人生だって、自然現象の一つなわけなのですが・・・。

まあ、難しいことを言いましたが、ペンギン、物凄くめんこいです。
赤ちゃんペンギンがめんこ過ぎます。
まだご覧になっていない方は、いづれ是非。

ちなみに、フランスの ALLOCINE.COM からDVDを買うと、コレ(→)が付いてくるらしい!
・・・ほしいな。

皇帝ペンギン プレミアム・エディション

皇帝ペンギン プレミアム・エディション

  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
  • 発売日: 2005/12/16
  • メディア: DVD


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「ロシアン・ドールズ」(2004) - Les Poupées Russes フランス [映画]

監督: セドリック・クラピッシュ
出演: ロマン・デュリス、セシル・ドゥ・フランス、オドレイ・トトゥ

★★★☆☆☆

久しぶりに映画を観ました。(いつもはテレビでB級ハリウッドのフランス語吹き替え版を漫然と眺めているだけ)
「スパニッシュ・アパートメント」の続編です。
この前作は、大学を卒業したての25歳グザヴィエが、父親の友人である官僚のコネを使っての就職に有利になるように、ヨーロッパの交換留学プログラムを利用して、バルセロナの大学院に留学する一年間の物語。
ここで彼は「ひとつのアパートに7つの国の青春」のコピーのとおり、家賃を浮かすために一緒に暮らしている各国の大学生達、ヨーロッパの人種のるつぼの縮図のようなアパートの一員となります。
そこで起こる摩擦、混乱、恋愛、友情、喧嘩に挫折・・・。

「あれから5年後」というコピーをDVDのジャケットに見つけた時は、おっ、大発見!と喜びました。
前作がなかなか気に入っていたからです。
しかし・・・、いつまで青春気分でいるのかダメダメ男。
見た目も冴えないし、定住所もない、女にだらしなく、すぐに逆切れ。
30歳のグザヴィエ、いいところが全くないのですが。
留学がきっかけでエリートとして社会の歯車に乗っかることを拒み、夢に向って生きることを選んだ前作。
結局は大人になりきれない青年の、青春シンドロームから中年シンドロームへの平行移動があまりに哀しいです・・・。
私生活でも一人の人間とまともに向き合うこともできず、きちんと恋をすることすらできない。
あげく、それをすべて相手のせいにしている。
「いつか僕に相応しい”最後の”女性に出会えるはず」と。
それまではマトリョーシカ(ロシアン・ドールズ)を開け続けるように、次々に女達を傷つけ続けるというのか。
この心意気のままではたとえ結婚したって、彼女の中にはまだ無数にマトリョーシカが隠れているのだが。
白馬の王子様願望以上に救いようがない。
これが監督の恋愛観だとすればかなりお先真っ暗ですが、彼は何を描こうとしているのでしょう。
グザヴィエの未熟さ?
それともカバのように一生添い遂げる伴侶を一目で見つけられない人間の哀しさ?

今回は混沌のバルセロナに代わって、ロンドンとサンクトペテルブルグの景色をたっぷり楽しめます。
更に、ロシアの公共アパート内の生活なども垣間見れて興味深い!
ユーロ・スターにひょいっと乗り込むと、こうしてあちこち行けるんだからヨーロッパはいいよなぁ。
って、私、今ヨーロッパに居るんだったわ。
でもね、若者にはかなり大きな割引があるんですが、27歳を過ぎると一気にお高ーくなるんですよー。
長距離は飛行機並の値段だったりするので、そう簡単には乗れないのです。。。

ところで、今回もイギリス人ウェンディの弟ウィリアムのテンションとバカさが最高でした。
でも真面目にロシア語を勉強したりして、かわいいし。グザヴィエよりずっと良いわ。
彼、「F.R.I.E.N.D.S」のフィービーの弟に似ていませんか?
↑彼女が赤ちゃんを代理出産してあげたフランクに。
一瞬、同一人物?と思ってしまった。

スパニッシュ・アパートメント

スパニッシュ・アパートメント

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • 発売日: 2004/08/06
  • メディア: DVD


※本作品は日本未公開なので、前作を


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こども、ある特殊な養育環境(1)「誰も知らない」 [映画]

ようやく「誰も知らない」を観ることができました。
TSUTAYA DISCAS でリクエスト待ち2ヶ月、その後も何度かレンタル屋の店頭に行ってみるも常に貸し出し中で、一度など間違えて「誰も知らないができるまで」なるものを嬉々として借りて来てしまい、まるで長編の予告イメージビデオのような内容に、ますます観たい気持ちが募ったことも。

長男・明を演じた柳楽くんが、映画宣伝用のポスターを見るだけでもかなりセクシーなのがわかったものでした。
彼は実に色っぽい少年です。
下世話な意味ではなくてね。
朴訥で素朴。瑞々しいが影がある。よい少年だー。
実話に基づいた映画であるということは聞いていましたが、1988年に実際に起こった「巣鴨子ども置き去り事件」は、私の記憶にはありませんでした。
そしてこの長男は、私とほぼ同世代なのです。

現実は映画より更に陰惨で、救いがなかったのですね。
当時の短い新聞記事を読むだけで、かなり暗澹とした気持ちになります。
長男の父親に捨てられ、哀れではあるがあまりにも無知で分別のない母親が、その後も様々な男との間に戸籍のない私生児を4人も自宅で密かに出産した末の事件でした。
次男は母親の目前でなすすべもなく病死、さらに当時まだ2才だった三女は母が去った後に入り込んだ長男の不良の友人に、遊び半分の折檻の末に殺害されてしまうのです。。。

是枝監督の表現は、作り込まず、糾弾もせず、子役への無理な演技指導もせず。
物語からは陰惨さや殺伐とした要素を排除し、過ぎ去る季節の中で逞しく生きて行く子供達への純朴な微笑ましさを淡々と写し撮る、物哀しく、良い映画でした。

この時の長男も今は30代。
どのような人生を送っているのでしょうか。

誰も知らない

誰も知らない

  • 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
  • 発売日: 2005/03/11
  • メディア: DVD


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「みんな誰かの愛しい人」(2004) - Comme une image フランス [映画]

監督: アニエス・ジャウィ
出演: マリルー・ベリ、ジャン=ピエール・バクリ、アニエス・ジャウィ

★★★★★☆

また日本の配給会社の出過ぎた作為の感じられる邦題、ピンクの落書きタッチで描かれたオフィシャル・サイトの登場人物相関図と、観る前には結構警戒していたのですが・・・。
実際、すばらしい作品でした。
多少ベタではあるけれども、「みんな誰かの愛しい人」。
うん、確かに見事に主題を言い表しているタイトルです。

エスプリに富む会話、シリアスな問題を扱い、つい顔を覗かせる人間のエゴを皮肉る面も見せつつ、ネガティブな主人公のイジけ具合すらコミカルに描き出す監督の手法には、愛が感じられます。
「わかっちゃいるけど、やめられない」
こんな風に微笑ましいほど個々のキャラが立ってる映画、好きです。
人間には他者が見ているその一面以外にそれぞれ別の顔がある。意外な面がある。生活がある。
この監督は人間関係の機微を熟知しているのだろうと思います。
機知に富んだ社交家であるに違いない、と尊敬を持って観ました。

でも、デブでネクラで不器用な女の子にも、すべて理解し無条件で愛してくれるハンサムな彼がいつかどこかで現れる、というちょっぴり安易な解決は如何にも女性の撮った映画故でしょうか。
いや、誤解しないでください。
そういうの、心から大好きです。

しかし私の場合は何よりも、監督、脚本、出演の3役をこなすアニエス・ジャヴィの才覚に脱帽するのです。
オペラまで吹き替えなしで自ら歌ってるし。
美人だし。
重要人物である無神経オヤジ役のジャン=ピエール・バクリとは、公私ともに研鑽し合い高めあえるパートナー同士でもあり、女性として表向きにはすべての夢を実現した感がありますよね。

そして、この愛しくも非常に付き合いにくそうな登場人物たち。
フランス人ってやっぱり疲れそう・・・。(汗)
そう、近頃のあたしをちょっぴり不安にさせる、このテーマ
基本的に皆、悪者ではないんですよね。
それぞれに野心があり、弱味があり、愛する人がある。愛される価値がある。
でも人間なので、それぞれの事情があり、エゴもある。
それがちょっと勢いで、思慮浅くも表面に迸り過ぎちゃうだけなのさ! C'est la vie!
そして、私の中のフランス人像はますます固められていくのでした。
怖いよぅ。

こだわっているだけあって、全編に渡って流れる音楽も良かったです。
ジャン=ピエール・バクリ、アニエス・ジャウィのコンビで作った他の作品も観てみたいです。

余談ですが、冒頭、傲慢オヤジが態度の悪いタクシーの運転手に投げかけるこの言葉。
「なんだその態度は!お前も客商売ならちょっとは自覚しろ!」
巻き戻してこのセリフを暗誦できるようにしようかと思いましたよ。
フランスで無礼で理不尽な目に遭った時、お上品な皮肉によって逆襲し、更に相手が暴言という手段に出たその刹那、このセリフを澱みなく投げ返せた日、私のフランスにおいての語学研鑽は一つの成果を見るのでしょう。
やだ、私、根性が悪いかしら。

みんな誰かの愛しい人

みんな誰かの愛しい人

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2005/05/18
  • メディア: DVD


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「キカ」(1993) - Kika スペイン [映画]

監督: ペドロ・アルモドバル
出演: ベロニカ・フォルケ、ピーター・コヨーテ、ビクトリア・アブリル、ロッシ・デ・パルマ

★★★☆☆☆

キカ
みどり

これは、完全な喜劇。
切なくも狂おしくもないので、私的にはちょっと減点かな。
「変態映画」と呼ばれているけど、大して変態だと感じられない私が変態なのかしら。
父子のミューズがこのうつみ宮土里なのも随分玄人向けの設定ですよね。
ハンサムだけど情けないマザコン息子ラモンは、スペイン版キアヌ・リーブスだ!

レイプされながらもあっけらかんと犯人の身の上相談に乗ろうとする、キカのすっとんだ明るさと、絵の具箱をぶちまけたような目の覚める色彩に、なんだか物騒なお話も、すっかり目くらましされてしまいます。
「アタメ!」のヒロイン、ビクトリア・アブリルはゴルチェの特殊衣装(装置?)と悪趣味でヘンなTV番組の回し者という特異なキャラで登場。
ほとんどギャグですよね。

でも私は・・・純で毛深いレズビアンのメイド、フアナが好きです。
スペインの原色に一番似合う顔していると思う。
アクリル絵の具で叩き付けるように描いた馬面の女の絵が、動き出したみたい。
こういう絵を描く人、いるよね?
しかしスペイン女性は男女の別が曖昧ですねぇ。
「メキシコ訛りの女」がニコラスの部屋を訪ねて来た時、絶対オカマちゃんだと思ったんだけどね。
「キカ、これは男だから嫉妬はご無用よ」なんて。

さて、公開当時ヘアーメイクアップ・アーティストを目指していた友人が、「キカ観なきゃ♪」と言っていたのを聞いてから十余年。
映画の感想を聞かないまま卒業してしまったけど、たまげたでしょうねぇ。当時のいたいけな彼女は。

最後のキカの「出発」がいいね!
そう、もう沢山だよねぇ、キカ!

キカ <ヘア無修正版>

キカ <ヘア無修正版>

  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
  • 発売日: 2001/11/22
  • メディア: DVD

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「天井桟敷の人々」(1945) - les Enfants du paradis フランス [映画]

監督: マルセル・カルネ
出演: アルレッティ、ジャン・ルイ・バロー、マリア・カザレス、ピエール・ブラッスール

★★★★☆☆

どの男にも微笑みかけながら、誰のものにもならない美女、ギャランス(ぎゃほんす、と聞こえる)。
4人もの男の心を惑わせながら、蝶のように可憐で捕らえどころなく、分厚い花弁の人食い花のふてぶてしさも漂う存在。
そして、恋を巡る彼らの台詞のやり取りは、実にお洒落です。

寺山修司がインタビューで最も影響を受けた映画として、この一本を挙げていました。
恐らく彼の劇団「天井桟敷」の名も、ここから取っているのでしょう。
「寺山のお気に入りだからなぁ~」と覚悟して観ましたが、意外に素直で美しい映画なのですよ。
確かに、終わらないカーニバルのような白昼夢の世界、サーカスを思わせる芝居小屋、劇と現実とが入り混じった役者達の人間模様・・・、寺山が惹かれたに違いない世界が垣間見られます。

そして道化の化粧を施したバチストからは、哀しいような、決してその心には触れられない故の淡い空恐ろしさのようなものを感じます。
ふいにギリヤーク尼崎を思い出しました。
実際に彼のパフォーマンスを見たことはないんですけどね。

フレデリックとバチスト、それぞれ全く逆の魅力を持つ男。
特にバチストが素晴らしい。
純情の瞳に芸術家ゆえの悩ましいナイーブさと、道化の持つ独特のもの哀しさ。
才能を持つ者に漂う、侵しがたい雰囲気。
存在から切なさが滲み出ている感じでした。
仕事や家庭を放り出して恋に生きようとする彼を妻が責めるシーンなど、髪型や骨格なんかも似ていて、なんだか芥川龍之介みたいに見えてきたりも。

しかしこの作品が、第二次世界大戦真っ只中に制作されたものとは。
それもドイツ軍がパリを占領していた時代に、ニースの撮影所に全長400Mの大オープンセットを建て製作されたそうです。
軍国主義と高度経済成長に塗りつぶされて、芸術の粋を防衛色とコンクリート詰めにしてしまった日本とは、美に対する想いのしたたかさの違いでしょうか?

天井桟敷の人々

天井桟敷の人々

  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
  • 発売日: 2002/09/26
  • メディア: DVD


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痛いよぅ [映画]

痛くて苦痛で意味の見出せない映画の殿堂に、新たに一本加わりました。(なぜか全部フランス系映画)

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「トゥルーマン・ショー」(1998) - THE TRUMAN SHOW アメリカ [映画]

監督: スコット・ルーディン
出演: ジム・キャリー、エド・ハリス、ローラ・リニー、ノア・エメリッヒ

★★★★★☆

すごく良かったです。
実は私、生理的にジム・キャリーが本当にダメなのです。
大っ嫌いでして、黙ってみていると耐え難い苦痛に心拍数が上がり、呼吸が苦しくなり、心神が耗弱するんですもの。
しかし、ジムってばちゃんと演技ができるんじゃないですか!
劇中のトゥルーマンには、愛おしささえ感じてしまいました。

これもRに薦められて観た一本です。
評判はずっと聞いていたので、観たいとは思ってたのですが、何しろ相手がジム・キャリーだったのでね、ここまで引き延ばしてしまいました。
Rにはジム演じるトゥルーマンの住む全てが美しく整然とした完璧な理想郷シーヘヴン島が、ディズニーがプロデュースする実在の街「セレブレーション」に思えて仕方ないんだとか。
あの完璧で安全な作りモノの街は、その明るく光り溢れる表面の下では不健康で皆ウツ気味でアル中に違いないと、計2時間ほどに渡って力説されたため、私にとってはこの映画を観る充分すぎる動機になったわけです。(俄然興味が沸く)
まあ、人生陽のあたる場所ばかりではありませんから。

Rは幼少期をディズニーの勧善懲悪教に強烈にコントロールされて育った北米っ子のひとりですので、大人になった今でもディズニーものに異常な愛憎を抱いているのですねぇ。
アンチ・ディズニー系のアニメなどに妙にご執心なのです。
ま、確かに昨今のディズニーは権力を持ちすぎですが。
クリスチャニティに対する反発心と同列のものですね。
私的にはディズニーに関しては可も不可もなく、「別にカンケイないし」という感じなのですが。
だって断然強い影響受けてるのはドラえもんだもーん。

ところで、ある掲示板で「子供の頃の勘違い」を募っていて、こんな投稿がありました。

『勘違いと言うより子どもの妄想ですが、親や周囲の人はみんな役割を演じていて、わたしが見てないときは「出番は終わった」と気を抜いて違うことをしているんだと思ってました。 だから学校から帰って母親がいないと、「自分が急に帰ってきたから、今あわてて(私の母親役を演じるための)支度をしてるんだ」とか思っていた。』

そう。まさに、これがトゥルーマンの世界!
しかしこれは統合失調症に特徴的な妄想のひとつでもありますので、こんな疑問を抱き始めることは至って危険なわけです。

とーっても興味深い、恐ろしい映画です。オススメ。
妻のメリルの完璧な笑顔がコワイよ~。

* * * * * * * * * * * * * *

ところで私、このクリスマスはRの両親の居るフロリダで過ごすことになりそうです。
以下、私とRの電話でのやりとり。
「フロリダって何があるの」
「何にもない。だから読み終わりたい本をドッサリ持ってくるといいよ。」
「…。」
「あ、海があるか。」
「あとは?」
「…ディズニーランドとか?」
もし暇で仕方なかったら、行ってみようじゃないですが、話のネタに世界一のディズニーランドとやらへ。
そして、セレブレーションに。(ニヤリ)

ディズニーが夢見た街
http://www.geocities.jp/soranoumi_jr/celebration.html

Welcome to CELEBRATION Florida
http://www.celebrationfl.com/

トゥルーマン・ショー

トゥルーマン・ショー

  • 出版社/メーカー: パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
  • 発売日: 2005/10/21
  • メディア: DVD


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「お茶漬けの味」(1952) 日本 [映画]

監督: 小津安二郎
出演: 佐分利信、木暮実千代、鶴田浩二、津島恵子、淡島千景

★★★★★☆

走る車窓から眺める古い東京の風景がぁ!!(興奮)
見渡す限りだだっ広くて、高いビルもなく、路面電車の電線が空を区切っています。
聳え立つ和光ビルが華やかなりし銀座の栄光を思うがままにしていた頃。
内田百聞の「東京物語」はさらに10年以上も前に書かれたものだけど、繰り広げられる東京ファンタジーの舞台はこんな感じの風景?
まあ小津さんの映画で、ビルの間を大鰻がニョロニョロ這ってたりする筈はないんだけどね。

ところで節っちゃん、奥様にずいぶんなついてるとのことですが、私はイヤだなぁ、あんなおば様。
自分勝手で高飛車で傲慢で。
すごく綺麗だし、可愛いところもあるけどね。
着物の着こなし様は絶品です。
特に冒頭の亀甲柄の着物が粋!

よい映画でした。
少々やりたい放題やりすぎた有閑マダムの反省顛末記。
「鈍感さん」とコケにされっぱなしの旦那さん役の佐分利信がとても宜しいのです。
朴訥だけど飄々として、甲斐性もあるし、男らしいじゃない。
お金だって充分すぎるくらいに稼いでくるしね。
一緒にいると、つい調子に乗りすぎてありがたさを忘れちゃうのよね。
身につまされます。
そう。夫婦は、お茶漬の味。
美味しそうです。二人で啜る夜中のお茶漬。

そして甘辛人生教室 パチンコ カロリー軒で笠知衆が店のオヤジ役で出てきたときは、つい歓声を上げてしまいました。
彼はメインの俳優でなくても、小津映画に於いては藤子不二夫マンガの小池さん状態に、何処かに顔を出してくれるのです。
そんな彼にエールと拍手がやめられない。
「よかったぁ、よかった。」とね。

ところで、のんちゃんの熱唱するあのヘンな外国語の唄は何だ?

お茶漬けの味

お茶漬けの味

  • 出版社/メーカー: 松竹
  • 発売日: 2005/08/27
  • メディア: DVD
 
小津安二郎 DVD-BOX 第二集

小津安二郎 DVD-BOX 第二集

  • 出版社/メーカー: 松竹
  • 発売日: 2003/10/25
  • メディア: DVD

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「小間使の日記」(1963) - Le Journal D'une Femme De Chambre フランス/イタリア [映画]

監督: ルイス・ブニュエル
出演: ジャンヌ・モロー、ミシェル・ピコリ、ジョルジュ・ジェレ

★★★☆☆☆

まあ、ブニュエルの他の作品よりはわかりやすいです。
フェティッシュ、ブルジョア批判、宗教や政治への皮肉、反逆者達の姿など、彼の原点が手に届く棚に陳列されていますね。
なんて私が分析するのはおこがましいか。
(よくわかってないし)
というわけで、ここはナンパに女子らしく行きましょう。

ジャンヌ・モローが素敵です。
美しいだけでなく、ファッションも振る舞いも魅力的。
コケットでありながら、クールで、素直なところもあり、愚かなようでも賢しい小悪魔でもあるのです。
何処まで本気なんだかよくわかりません。
そして、娘っ子じゃないんですよー。
32歳。
こんな女を目指そうと思うのです。

今週末は結婚式のヘアメイク担当さんと会うんです。
「アールデコ風か、50~60年代のフランス女優さんみたいな髪型がいい」なんて我侭言っても、通じないよね。
顔も違うしな。

小間使の日記

小間使の日記

  • 出版社/メーカー: ビデオメーカー
  • 発売日: 1995/04/20
  • メディア: ビデオ


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