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巴里の公共交通機関は、灰色。 [仏蘭西]

今回のフランス最後の締めくくりは、ミディ・ピレネーおよびラングドック地方に点在する辺境村の周遊に決まっていました。
それって何処?とお思いでしょう。
この辺りで最大の都市トゥールーズを起点として廻る、と申し上げれば如何でしょうか。
あ、聞いたことありますよね、でもトゥールーズって何処にあるんだ?そうですよね、私もそうでした。
この地方は、スペインと国境を接した南フランス内陸部一帯を指します。

TGVではパリから目的地まで7~8時間もかかってしまう上、なぜか旅費は飛行機よりも高い。
ということで、今回初めて EASYJET に乗ってみました。
早めに予約すればなんと片道20ユーロ以下で海外にも行けてしまうが、全自由席というとってもお手軽な空飛ぶバス感覚の小型飛行機です。
日程が迫っていたために国内線ながら片道80ユーロと少々高かったものの、6時間節約の利は大きく、パリに近く小さなオルリー空港発着であったためにすべてが極めて順調に運び、大満足でした。
パリからの近距離旅行は、可能な限りオルリー発着にすることをお勧めしますよ。
便利な時間帯の便もこちらに集中しているみたいだし。
市内から30分ほどで行けるので交通費も安い上、何といっても世界屈指の観光都市かつ芸術と文化の中心パリの国際空港シャルル・ド・ゴールは、複雑で難易度が高く、ショックを受けるほど機能性、利便性、受容性、外観、全てにおいてひどく時代遅れの代物なので・・・。

世界各国旅行をして様々な空港を目にして来ましたが、パリ国際空港は人々の期待値における、否、その存在単独でも十分に失望させてくれる空港ナンバーワンです。
コンクリート製の巨大蜂の巣のような無粋な見た目。
70年代建造時のままの狭い廊下やわかりにくい表示、今日の発着便および旅行者の増加や多様化に対応しきれておらず、トイレの数も全然足りません。
場当たり的に増築したような印象を与える小規模のターミナルが点在し、各ターミナル間の連絡も不案内かつ不便です。
フランス語が満足に話せない年配の旅行者などは、一旦ターミナルを間違えると途方に暮れてしまうのでは。
一旦チェックインゲートをくぐっても、搭乗機まで遥々とバスで運ばれて結局別のターミナルまで行くこともあるため、CDG利用の場合はうんと時間に余裕を持って行く方が良いようです。
空港直結バス以外のアクセス手段であるRER(郊外高速鉄道)は、複雑すぎて私には乗りこなせませんでした。(乗る必要がなかったのだけれど)
空港線は旅行者を狙った荒っぽい強盗が出ることが知られており、危険でもあります。
買い物天国を楽しみにしていた免税店も想像に反してまったく充実しておらず、値段はほぼ市価と変わりません。空港テナントが免税の特権を笠に着て、小売利益をがっぽり上乗せしているんじゃないかと疑ってしまいます。
数時間を空港内で過ごさなければならない旅行客を座らせる椅子の数も充分ではなく、セキュリティの先には哀し気な大学カフェテリア風の食堂がひとつ、長蛇の列に付いて買えるのは、7ユーロもするサンドイッチとコーラのセットでした。

と、空港ばかりをこっぴどくこき下ろしましたが、大抵においてフランスの公共交通機関はなんだか前近代的な貧しさが漂っているものが多いです。
誇らしげに開通100周年を宣伝しているパリ・メトロは、100年前から殆ど進化してないんじゃないの?と思わせる不振ぶり。
落書きだらけの車両は不安になるほど激しく揺れ、接触不良なのか車内の電灯が瞬間的に消えることが良くあります。
陰気で汚く、オシッコ臭い駅構内には身障者用のエレベーターひとつなく、2003年の熱波ではフランス国内で高齢者を中心に1万5000人の死者が出たというのに、未だに車内には冷房が整備されていません。
今年も8月には40℃を超す猛暑の日が続き、私も件の閉所恐怖症の発作から立ち直っていなかった時期であったため、乗車中に具合が悪くなり何度か途中下車をすることがありました。

さらにTGVなどが発着するフランス国鉄の駅はどうかと言いますと、前述のふたつよりは幾分マシですが、やはり手放しで賞賛するには全く値しません。
まず、これもやはり待合用の椅子が圧倒的に少ないのです。
そして列車がホームに入線するその瞬間まで、乗客は自分が行くべきホームが何番線であるのかを知らされません。
従って、ホーム中央の巨大掲示板が入線ホームを指定するまで、数十人の乗客が皆ひとところに立ち、または鳩が歩き廻る地べたに座り込み、一様にボードを見上げてじっと待っているのです。
列車は数十車両が連結され途方もなく長いこともざらで、ホームへのアクセスが先頭からのみである場合には(殆どそう)、列車の発車時間までにスーツケースを必死に引きずって列車後部まで激走しなければなりません。
発車寸前にようやくホームが指定された後に、おもむろに入り口で警察官がID検査を始めることもあり、そうなると正に"embouteillage"(渋滞:ボトルネックに詰まって飽和状態)となり、発車5分前、目指す車両は100メートル先、でもホームの入り口はものすごい混雑で中に入れない~!!という状況になります。

・・・・

ミディ・ピレネーの旅行記を書こうと思ったところ、思わずフランスの交通機関の批判になってしまいましたので、今日はここでやめておきましょう。
次回は、城塞都市カルカッソンヌから始めますね。


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