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吸ったら死ぬ [仏蘭西]

来年から公共の場では禁煙=レストランは08年から-フランス
【パリ8日】フランスで、公共の場での喫煙が来年2月1日から全面的に禁止される。カフェやバール(酒場)、レストランでの禁煙は11カ月遅れの2008年1月1日からの実施となる。
 ドビルパン首相が8日、RTLラジオで明らかにした。同首相は、伝統的に喫煙客を受け入れてきたバールやレストラン、ディスコなどには11カ月の猶予を認め、禁煙の実施を08年1月からとすると述べた。同首相は、これら施設での喫煙は、従業員が立ち入らない密閉された喫煙室などを設置した場合に限られると語った。
 欧州でも、喫煙や受動喫煙の危険性に対する国民の意識が変わりつつあり、アイルランド、イタリア、スコットランドなどで同様の措置が導入されている。
 ドビルパン首相は、フランスでも受動喫煙が原因で毎年約5000人が命を落としているとして、「これはまったく受容できない状況だ」と述べた。
 禁煙措置はまず、学校、企業、店舗などから実施される。違反した個人には75ユーロ(約11000円)、施設の管理者には150ユーロの罰金が科せられる。

なんと・・・あのフランスが全面禁煙化??
突然の印象を受ける告知に、かなり驚きました。
確かに、フランスの喫煙率には先進国でありながら凄いものがあります。
カフェに行けば子連れであろうと、妊婦であろうと、優雅なマダムも食後の一服とばかり口を歪めてスパ~とやっていますものね。
日本ではレストランで隣の席の男がタバコの煙をこちらへ吹かすと、親の仇のように口から火を噴いて睨み付ける私ですが、フランスではさすがに郷に入れば・・・というか、目くじらを立てているとスターバックスくらいしか行き場がないのですよ。

写真(↑)はマルボロのパッケージを掲げるJ.L君。
以前、フランスのタバコのパッケージを見て、「へぇ、このフランスでもこんな注意書きを実施しているんだ」と驚いたことを思い出しました。
「FUMER TUE」=「吸ったら死ぬ」とは、友人C氏のナイス和訳。

ところでパッケージのえげつなさについては、カナダのタバコに適う物はありません。
表面の50%を占めるグロテスクな写真と、喫煙の害を訴える鮮烈なコピーがあなたの良心をぐりぐりと抉ります。
「毎年タバコによって小都市の人口に匹敵する人数が死亡する」
「タバコでインポテンツになる可能性がある」
「タバコは心臓破りだ」(腐った心臓の写真と共に)
「タバコは卒中の原因になる」(腐った脳の写真と共に)
「僕たちに毒を盛らないで!」(可愛い子供たちの写真と共に)
「タバコは赤ん坊に害を与える」(あどけない赤ちゃんの写真と共に)
↓下記リンクをぜひ参照してみてください。
http://www.anti-smoke-jp.com/canadapkg.htm
さらにタバコ1箱が8~10ドルもするため、ヘビースモーカーには経済的にも負担は大きく、持ち家でもない限り自宅で吸うのも禁止、外に出ても公共の場は全て禁煙と、向かうところ八方塞のカナダ愛煙家事情。

オンタリオ州では、2004年6月から公共の場すべてにおいて全面禁煙法が実施されて以降、現在では街中どこでも爽やかな空気が吸えるわけです。
更に愛煙家の唯一の砦であった夏期オープンカフェでの喫煙さえも、今年から全面禁止となり、政府が最後の生き残りの愛煙家の息の根さえも止めようとしているのがわかります。
大成功を収めているかにみえるオンタリオ州の禁煙法ですが、実は全面施行1年前の冬に一旦施行を開始して、大失敗に終わっていたのだそうです。
なぜなら・・・やはり最初は愛煙家のみならずとも、バーやカフェの経営者が客足が遠のくことを心配して抵抗した上、ここは酷寒のカナダ。
-20℃の寒空の下、突然外で吸えと言われても、ハイそうですかとは行かなかったのですね。
しかしこの禁煙法は翌夏再施行され、大成功を収めたのでした。
日光大好き、夏が大好きな欧米人は、春が来ると同時にこぞって太陽の下に集いたがります。
暗い店内が禁煙でも関係ないサ!!眩しい太陽の下で酒を飲もうぜ!!タバコも吸っちゃおうぜ!!
カフェやバーのパティオで夏を満喫したカナダ人愛煙家は、迫り来る秋の気配に押されて次々に店仕舞いしたパティオの横で、寒風に震えながらキリギリスのように立ち尽くしたのでした・・・。
夏の間に禁煙が確立した店内では、清浄な空気にすっかり慣れた嫌煙家達が、アハハ・・・オホホホ・・・と楽しそうに笑い興じていましたとさ。
今回フランスが発表した二段階禁煙政策は、どちらも冬に開始するようなのですが、カナダと同じ轍を踏むことにならなければいいのですが。

私のパリ滞在は夏だったため、もともと冷房が整備されていないお国柄、窓や扉は全開で風通しが良く、カフェでもパティオなどオープンスペースに座ればそれほど紫煙が気にならなかったこともあります。
全般的にフランス人は、したいことをしたいようにできる自由が比較的認められている感じで、日々のストレスや禁煙プレッシャーに脅かされて逆に次から次へとタバコに火を灯してしまう日本のオジサンのように、チェーンスモーカー化する傾向が少ないのか、ひっきりなしに吸い続けている人はあまり見かけませんでした。

そしてフランスの古い映画、音楽、絵画、小説、写真・・・。
文化の一部となってしまっている感がある、フランスのカフェとタバコ。
それがこうも唐突に全面禁煙とは俄かに信じがたいものがあります。

更にフランスでは、規制枠に対する幅の解釈が非常に寛容な気がします。
-ダメなことでも、よっぽどダメでなければ、まあいいか。
-今日は気分がいいから、普段はダメでもいいことにしてあげよう。
注意したり断る時も、北米のように頭から押さえつけるように言い放つのではなく、あくまでも個人的にお願いしてスマートになるべく感じ良くやめてもらう、という対応が多いです。

一昔前には高校の給食にワインが出たとも聞くフランスですが、現在では未成年(16歳未満)の飲酒は一応規制されているため、警察官の目の前で違反をした場合、注意くらいはされるようです。
けれども摘発や罰を受けることは殆どないのだとか。
一説によれば親が一緒なら社会の嗜みのひとつとして、14歳くらいの子には普通に酒を飲ませてもOKなのだそうです。

現状では「禁煙」の看板が大きく出た施設内でも、平気な顔をしてタバコに火を付ける輩が多々おりますが、それをいちいち目くじらを立てて取り締まるような下地がないような雰囲気なのです。
表向きには禁止していても、従業員である自分達も吸いたいし、いちいち注意してたら仕事も増えるし、たまにはいいじゃん可愛そうだもんね、それより今夜のデートには何着て行こうかな・・・、こんな状態に落ち着きそうな気が。。。

それでも受動喫煙が原因で毎年約5,000人が死亡しているとは忌々しき事態。
非喫煙者のカフェ店員などの健康を考えると、唐突に見えるこの決定も時代の流れの中では必至かつ最善の強硬手段なのかもしれません。
パリでは5年前に比べて根絶不可能だろうと言われていた犬のフンが激減していたので、フランス人も案外やればできるのかも。。。

それにしても全面禁煙制度化、日本があのフランスに遅れを取るとはね。


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