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風の谷のミネルヴ [仏蘭西]

翌日、存在すら知らなかった「フランスの最も美しい村」のひとつミネルヴに、観光局のお姉さんの大推薦を受け訪れてみることにしました。
「フランスの最も美しい村」は、フランスの数ある町の中でも古い面影を当時のままに残し、なおかつ人口が2000人以下の歴史的遺産価値のある町が、観光を中心とした村おこしのひとつとして協会の審議により認定されています。
その殆どは観光地されることなく、不便な立地であるがゆえに古からの素朴な佇まいを残すものが多いため、フランス滞在中に多少でも自由な時間が作れる場合には是非訪れてみる価値があります。

ミネルヴは先史時代から存在する人口106人の小さな村。
遥かな時代から蛇行する絶え間ない水流が削り出した峡谷の道を車で行くと、BrianとCesse、二つの川によって大地から隔てられた小高い台地の上にミネルヴ村は夢のように現れました。
街へは唯一、Cesse川に架かる美しい眼鏡橋からのみアクセスが可能です。

高台から村全体を眺めていると、この石橋が谷を跨いで小さな中世の村へ差し掛かる様がナウシカの住む風の谷みたいだな、と思ってしまいました。

この村にも13世紀初頭、周辺の村々から逃げ込んできた多くのカタリ派を匿い、アルビジョワ十字軍に包囲された歴史があります。
天然の濠に守られたこの村は、十字軍が放つ最新鋭投石器(通称「非常な隣人」)の放つ200kgの石も届かず、十分な食料を蓄えたミネルヴ側は優勢かに見えました。
しかし不幸なことに、村全体の喉を潤す井戸だけが城壁の外にあったのでした。
敵はそれを見逃しませんでした。
対岸に据えられた「非常な隣人」が、集落から井戸への唯一の小道を破壊します。
生活用水が尽き、渇きは耐え難いものになりました。
ついに領主は降伏し、交渉の結果カトリックは許されることに。
しかし、140人のカタリ派は信徒自らの手で盟友を火炙りの刑に処すこととなったのでした。

殉死の小道を石畳を踏みつつ高台へ向かって上ると、カタリ派を偲ぶ鳩を象った石碑が街を見下ろす小さな広場に立っていました。


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