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ロマンチックな鴨の解体 [食べるのスキ]

これはサイズの私比。

傍目には「どこがだよ」と思われるかもしれないが(自宅用酒代が月1万5千円とか・・・)、もっぱら節約モードな私たち。
しばらく外食はしないと決心しているため、巷ではバレンタイン・デーなどというものなれども洒落たレストランにディナーに出掛けたりはしません。
その代わり、Rに「記念になんか美味しいもの作ってよ」と頼んでみる。
一方、私は前日までに初挑戦のピザおよび膨らまないシュークリーム、とろけないフォンダンショコラなどを散々作っていたために(オーブンの使い方練習中)、敢えて自分で作りたいものが思い浮かばなかったのでした。

一日思案した上の彼の提案とは・・・「鴨を一匹丸ごと買おう」。
えっ・・・?丸ごと?
「上質の鴨を解体して胸肉をステーキにし、さらに腿と残りの部位を油漬けにして自家製コンフィを作る。どう?」
どうって・・・大変そう。コンフィは二週間仕事だし、二人で鴨ばかりを一体何日間食べ続けるんだ?とは思っても、ぐっと飲み込んで「ス、ステキね」と答えました。

首付きですよ~。コワイ。

翌日街一番の市場に出掛け、鴨を探すが見当たらない。
肉屋の親父に「鴨、丸ごとあるかな?」と尋ねるRに、「ああ、あるよ」と親父が奥から取り出してきた冷凍の鴨は・・・デカっ。
結局、引くに引けずに3キロ以上もある鴨とコンフィを漬ける鴨脂を2パック、計55ドルものお買い上げでした。
だ、大丈夫なのか。
ただ明晩のディナーのためだけに、新鮮な胸肉を一枚購入するのではダメなのか。
Rの横顔にもちらと動揺と淡い後悔が見て取れるのですが、敢えて触れずに帰宅しましょう。
何しろ、このような巨大な肉塊には私自身、手も足も出ませんから。

ちゃんと見慣れたカットになるものです。


自然解凍に一日かかった鴨からは、真空パックを開封するやドバーッと大量の血が流れ出し、私はRが鴨を水道水で内から外から洗うのを、キッチンの隅から恐る恐る覗いているだけ。
久しぶりでうまく行かないとこぼしながら解体していたRですが、さすがですね。
最終的にはきちんと肉屋で売っている形の部位に切り分けられました。
それぞれが巨大ですが。

さて、バレンタイン当日の鴨ディナーは、もの凄い勢いでがっついたために写真が残っておりません。
これは、翌日もう片方の胸肉で作った、ほうれん草とガーリックフィリングの鴨ステーキ ブランデーソース 鴨のスープときのこのリゾット添えでございます。ブルーチーズと胡桃のカラメリゼ、みかんのガーデンサラダと合わせてどうぞ。

コンフィ調理中。強烈にかぐわしい匂いが・・・。

次は残り物でコンフィ作成です。
残りの腿や部位と脂を鍋に注ぎ、ハーブ類を加えて弱火でひたすら煮ます。
キッチン中、いや家中、いやいや近所三軒先まで芳しい鴨肉と脂の匂いが激しく充満すること二時間半。
アパート内に宗教上のビーガン(卵や乳製品、蜂蜜も口にしない完全菜食主義者)が居たら大変申し訳ありません。。。
しかし生来雑食の生き物としては、これは抗しがたい芳香だとは思いますがね。
(そう言うとRはこの匂いを前にしたビーガンは、セックスを禁じられたカソリックと同じ心境だね、との問題発言。)
あとはこれを冷蔵庫で二週間以上寝かせるだけです。
そして、すっかり肉を削り取られた鴨の大きな骨格をセロリや玉ねぎなどの香味野菜と共にオーブンでローストし、更に水に沈めたらこちらもコトコトと三時間。
午前一時を廻った頃には、2.5リットルの鴨のダーク・スープ・ストックができあがりました。

55ドルも払ったけど、一食55ドルくらいしそうなディナーが四食分、更に四食分以上ありそうなコンフィ、2.5リットルの上質ストックが取れたので、かなり経済的ね!とついつい金勘定をしてひとり悦に入ってしまいました。

その夜・・・七時間近くも鴨を切ったり煮たり焼いたりしていたのが脳裏にこびり付いていたためか、部屋中に未だ漂う香りのせいか、非常にグロテスクな夢を見てしまいました。
同じく解体の夢でした。鴨じゃなくて人だったのですが・・・、完全犯罪を企みつつ、経済的にスープまで取っておりました。


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そういえば・・・

以前フォアグラのスタージュにいってきたことがありました(*´∀`*)
1匹(でも顔つきでなんだか「ごめんね!」って感じでしたが・・・)ですが、
「はァ~難しいよ_| ̄|○…_non…ガクッ 」となったような・・・
すごいですね!!!

やってみようかな?(もちろんチビ鴨で(苦笑)
by そういえば・・・ (2007-02-25 05:20) 

meg

そういえば・・・さん、はじめまして。
コメントありがとうございます。
フォアグラのスタージュってスゴイですね!
肝臓・・・でしょ?
食べるのはスキだけど、私にはちょっとムリかもです。
魚でもサンマくらいしかおろせないんデス・・・。
鴨を解体したRによると、体の構造さえ知っていれば簡単だそうで・・・。
できあがった素材を見ると、確かにやる甲斐はありますよ!
by meg (2007-02-25 12:35) 

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