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妻を火炙りにしてはいけません [カナダの日々]

先日、テレビを見ていたら興味深いニュースをやっていました。

カナダ全体が外国からの移民を広く受け入れる政策を推進している結果、各地で大小の文化的な摩擦が起きていることは、ある意味避けがたい事実です。
そう言う私も移民の一人ですから、日々カナダのヘンなところをこうしてあげつらってはブログのネタにしたりもしているわけです。プチ日加摩擦ですね。もちろん逆の立場の意見もあるわけで、「ここがヘンだよ!日本人」がその一端に当るのかと思われます・・・。
さて、カナダ唯一のフランス語文化圏ケベック州にも例外なく移民は流れ込んでいるのですが、ニュースはこのケベック州のとある小さな田舎町(村?)についてのレポートでした。
Herouxville は モントリオールの北東160キロ地点に位置し、1,300人ほどの人口のほぼ全員がフランス語を話すカトリック教徒で占められています。
このたび移民を受け入れるにあたって発表された移民心得がマスコミの目に留まり、この小さな町は現在ちょっとした騒動に巻き込まれているのです。

その心得とは・・・
「この町では公共の場で顔を覆って歩くことはハロウィーン以外には許されません」
「この町では女性を石打ちにして殺害したり、公衆の面前で殴ったり、生きたまま火炙りにしたり、女性器を切り取る行為は許されません」
「この町の人々は年末には樅の木を飾り、酒を飲んで踊り、プレゼントを交換し、キャロルを歌うでしょう。これはクリスマスと呼ばれるものです。あなたもそんな場面に遭遇する可能性がありますので、反発することなくご承知おきください」
・・・などなど。

得体の知れない異民族、特にイスラム教徒に対する恐怖と差別の心理が如実に表れていますね。
確かに保守的な住民たちの精神的な抵抗や、未知のものに対する恐怖心は理解できますが、大方のメディアはこれを「行き過ぎた表現」「外国人アレルギー」と批判する向きが多いようです。
マイナス20℃を超すことも珍しくないケベック州の冬には、老若男女問わぬ皆がマフラーや帽子で厳重に顔を覆っているのですがね・・・。

この心得を制定した主要人物である町議員 Andre Drouin 氏は「国内外から2,000件を超す励ましのメールをもらった」「私達はあくまで自分達の立場を明確にしたかっただけなのに、イスラム教徒が過剰反応している」と反論しています。
「いずれの国からも、あらゆる宗教の人々をも歓迎するが、彼らは故郷のしきたりを放棄し、私達のライフスタイルを受け入れなければならないのだ」
また強硬派の意見として、モントリオール市内にてユダヤ教徒のシナゴーグに隣接するジムの窓から礼拝中に似つかわしくない光景(レオタード姿の男女が飛んだり跳ねたり)が見えることにに対してジムの窓が磨りガラスに変えられたことや、カナダ最高裁判所がシーク教徒の学生が祭祀用の短剣を学校内で持ち歩くことを認めたことに言及し、異民族のワガママ、受け入れ難い譲歩であるという立場を表明したラジオのコメンテーターも現れました。

この町の保守的なオバサマ達も、カトリック教会の裏手にストリップ・クラブやゲイ・バーができたなら青筋立てて怒鳴り込むのでしょうに。
現に、キリスト保守派系の反同性愛者団体であるアメリカ家族協会(AFA)は、米ウォルマートがゴールデングローブ賞四冠を受賞した同性愛映画「ブロークバック・マウンテン」のDVDを販売することに猛烈抗議、「ウォルマートがもはや私達が慣れ親しんできた家族に優しい企業でないことはあきらかだ」などと言ってボイコット運動を起こしているのです。

確かに私としてもいくら最高裁判所で認可されたとは言え、祭祀用と称して子供が刃物を教室内に持ち込むことには諸手を挙げては賛成できません。
しかし、これはどちらの立場の生徒も各学校が良識において定めるポリシー、ルールに準じれば良いのではないでしょうか。
カナダ国の人々の常識と各種の宗教感情とを照らし合わせた上で、譲れない要件については最善の解決点を見出して行くという努力は常に必要だと思います。
シナゴーグというユダヤ教徒に対しては無二の聖なる礼拝の場には、周囲の人間に多少の譲歩を要するとしても、尊重されるべきだと思うのです。モントリオールの事例についても別にジム自体を廃業に追い込むような極論ではなく、ただ窓から見える相応しくない風景を擦りガラスで遮断する、という解決策は極めて妥当だと思えます。
前述のカトリック教会の裏手にストリップ・クラブを開業しないのと同じ心遣いです。
強いられた不便さの逐一を鬼の首を取ったように振りかざしてヒステリックに批判するだけでは、決して他民族との共存は望めないでしょうから。。。

それぞれの良識、およびその国(この場合はカナダ)の法律や慣例に倣って、認めるべき物は認め、看過できないものは規制する、なぜ臨機応変に対応できないのでしょうね。

マスコミのバッシングの故か、2,000件の励まし以上の数の批判メールを受け取ったためなのか、後日 Herouxville の移民心得は衝撃的な表現をかなり削ったものに書き換えられたようですが。

* * * * * * * * *

トロントに戻って来たところ、9日間ほど無人だった台所に地下のネズミ君がついに引っ越して来ちゃったみたい・・・。
ハウスメイトが放置したゴミ袋の臭いに誘われて階段を昇って来たものと思われます。
天敵ゴキに比べればネズミの顔なんてカワイイものですが、台所に共存となるとこれはまた別のお話ですーー(泣)
だって哺乳類だし~保菌獣だし~何でも齧るし~手足が器用だし~・・・
怖いよぅ。
引越しまであと3週間・・・。


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