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クリーニングで、ハイ五万円。 [カナダの日々]

五万円ですよ!
何のクリーニングって、歯です。
それも特別な薬剤やマシンを使うような審美の施術ではなく、例の先が尖ったキュレットとやらで歯茎の隙間をガリガリ掻き回される、ごくごく普通の歯石除去です。
まあ、初診料代わりに歯の全体レントゲンを撮られたのもかなり効いているのですけれど。

移民前には「カナダは医療費が無料だ!」と無邪気に喜んでいた私ですが、こと眼科と歯科に関してはかつては州の健康保険でカバーされていたこともあるようなのですが、いつからか成人は対象外に。
一方、普段の私が定期的に通うクリニックはまさにこの二つのみ。
かつては配偶者Rも稼ぎの良い定職に付いており、州がカバーしない医療費もほぼ全額が会社によって支払われていたため、一体医療費の内訳がどのようになっているかなどは考える必要もなかったのでした。
しかし、今では自営業となった彼と、無職なこの私・・・。
・・・全額負担?
それでも歯科には行かねばなりません。差し迫った危機があるわけではないのですが、定期検査とクリーニングは必要ですよね。
特にアメリカ人は歯が命!なこの社会、ある程度のステイタスにある人々は白磁のスマイルに目を剥くほどの大金を注ぎ込むことも厭わない世界なのです。
普段は身だしなみに気を使わないオヤジも、小太りのエンジニアも、定期検査の時期が来て歯医者からの来院コールを受けると、皆いそいそと歯科に出かけて行くのです。

幼少の頃、私は学内で十人程しか居ない虫歯ゼロ生徒の肩書きを誇らしげに掲げていたものでしたが、とある年の校内一斉定期点検にて、「今すぐに治さないと手遅れになる虫歯がいくつもある」との栄光失墜の通告を受けてしまったのが運の尽きでした・・・。
昭和50年代当時、先生や医者などは天下の権威。親ともどもお医者を疑ってみるなどということは思いつきもせぬ純真な小市民でしたので、その宣告に哀しく涙を流すものの、早速その校医の居る治療院へ診察の予約を入れたのでした。
結果、このヤブ医者に目視では見えない数々の「虫歯」に悉く大穴を穿たれ、私の奥歯は殆ど銀で覆われてしまったのでした・・・。
治療の継続をやめたい旨を申し入れた際には「まだまだ虫歯がある」との話で、危うくヤブの利鞘稼ぎのために一生物の歯全てに穴掘りをさせてしまうところでした。
悪夢はそれだけでは終わらず、お粗末な治療は詰め物と歯の隙間を残し、そこから更に虫歯の経年進行を許してしまったのです・・・。

この恐ろしい経験により、私は歯医者選びには慎重に慎重を期しています。
多少お高くても、治療に失敗したからと言ってネズミのように新しいのを生やすわけにも行かないのですから、信用できる先生にしか私の歯は預けられん!
それにしても五マンエンとは・・・。
しかし、確かにここはとてもにこやかで良いクリニックです。
スタッフにも徹底したプロ意識が見られ、これも先生の人柄と職業に対する真摯な姿勢が表れているのでしょう。
日本での治療痕である銀歯が珍しいようで、一通りのチェックの後、スタッフが集まって私の歯および治療痕の品評会、さらに鼻腔が一般に比べ広いので鼻風邪の時は人より辛いという、我が身のことでありながらまったく想像もしたことがなかった事実を教えてもらいました。

特筆すべきだったのは、一時間半ぶっ通しで血まみれになりながら私の歯を掃除してくれた歯科衛生士さん。
普通はゆすがせてくれますよね、五分ごとくらいに。
完璧主義者なのです。歯茎の奥に隠れたほんの僅かなミクロン歯石だって、見逃せません。
自らの職業を愛しておられます。
最初は無愛想で少々恐めのオバサン・・・?と言った雰囲気だったのですが、歯石除去への限りないこだわりと情熱について問わず語りに話してくださいました。
前述のごとく、半年ごとに定期点検に来る常連の患者さんには、大した歯石の蓄積など期待できない。
しかし、ごく稀に外国からの新患が来るとなると、歯科衛生士の間には腕が鳴るこの獲物を攻略する幸運者の座を巡り、殺気立つ空気がひそやかに流れるのだとか。
本日の患者リストに私の名を見つけた彼女は、「この歯石は私のものよ!」とガッツポーズで気勢をあげたのだそうです。
そして人種のモザイクであるトロントにおいて、あらゆる人々の歯石をひねもすこそげ落とす彼女が、人種による歯肉及び歯石の蓄積具合の違いについての興味深い考察を披露してくれました。
例えは本土出身の中国人は普段からあまり歯を磨く習慣がないためか、ギネスブック並の歯石が取れる横綱級。
しかし四千年の習慣のための進化か、鍾乳洞のような歯石を結集させている人が居れば、一方で不思議なくらいに何も付いていないまっさらな歯を持つ人が居る。
白人種には白人種の、インド人にはインド人の、東洋人には東洋人の、それぞれの特徴があるのだとか。
黒人の歯は大きく強いのだが、逆に歯肉が柔らかくデリケートなため、歯茎のトラブルが多いとのだそうですよ。
どうだ、知らなかったでしょ?どうでもいいミニ知識がいっぱい付いちゃいましたね。
カナダで生まれ育ったアジア人、日本食しか食べないカナダ人、様々なパターンを観察するに、これは単純な食習慣による特性ではないとのこと。
歯茎における、人種による性質の相違についての観察考。大変面白い視点です。
如何に彼女の生活が歯石を中心に廻っているのかがわかりますね。

帰り際、「ステキな時間をありがとう。楽しかったわ。」と感謝されました。
どういたしまして。あなたが楽しんでくれたみたいで何よりです。
私も、人生で未だかつてなかったほど歯がキレイになった気がします。
血まみれだけどね・・・。

そうそう、先生には丁寧なリスク説明により、すぐにでも親知らずを抜くよう指導を受けましたが、この勢いでは一本につき十マンエンほど掛かりそうですので、いずれ仕事に就いてからに致します・・・。


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夏ですね [カナダの日々]

などとさり気ないタイトルで、さらっと二ヶ月間ほどの更新停滞を流してみます。
蒸し暑うございます。
日々の行動にそれほどの動きも目新しい出来事も起きていないために、どうにも滞ってしまいます。
シソの芽も出ないし。
新居にはテレビもないので映画やドキュメンタリーなどを見る機会にも恵まれず・・・。
ここは一発、ハワイに転勤とか、気前のいい話が持ち上がらないものかしら。(可能性がないわけではない)

私のこの街に対する印象は、いつも侘しく人生の厳しさを噛締めるような灰色極寒のイメージだったわけですが、思い出して見るに、冬と初春は既に三度も経験しているにも関わらず、ここでの夏は四年前に初めてカナダに上陸した時の一度きりしか知らなかったのよね。
実際、カナダは夏にはかなり気温が上がり、結構蒸し暑いのです。
更に今年になって気が付いたことは、トロントの春は方々で花が咲き乱れているということ。
それまで北海道と似たような気候、植生だと思っていたので、想像以上に木々の梢に色色な花輪が綻んでいる様には感激。
特に、桜もどきや私が好きな木蓮があちこちに見られる晩春は、とても幸せな桃色三昧でありました。

さてこれは先月のお話になりますが、日本人たるもの桜が満開と聞けば花見をせずには夏は迎えられない。
ということで、いそいそとお弁当を拵えてハイ・パークにあるという桜並木を愛でに参りました。
広大な公園の一体何処に桜並木はあるのかな?
日本人のグループがちらほらと群れなす方向へと自然に導かれ、ほどなく百本ほど植えられた若いソメイヨシノの並木を発見。
確かに、齢百年を軽く越す上野公園や千鳥が淵の魔性には適わないけれど、皆それぞれに可愛らしいピンクの花を咲かせていましたよ。
やはり、この気候ではソメイヨシノはいまいち映えないのでは・・・と思ったけれどね。

実際に桜の木の下に行ってみると、あれほど居たように感じた日本人は殆ど見かけず、中国人の子供連れが山ほど来ていました。
中国にも日本と同じように桜の花の下に集って飲み食いする習慣があるのですね。
しかし、ここでは花見におけるマナーがまったく徹底されていないではないか!
子供たちが手に手に手折った桜の枝を持つわ、ようやく膨らんだつぼみを毟り取るわ、ハイ、チーズ!と我が子を木の枝からぶら下げさせて記念撮影をするわ、酷い有り様。
まあ、カナダは公共の野外での飲酒は禁じられているので、ブルーシートの醜い酒宴が繰り広げられていないだけマシか。
日本人の花見客もヤバイからな・・・。
せっかく日系のコミュニティの人たちが丹精込めて植えているのに、こんな扱いじゃ綺麗に育たないよ・・・。

更に・・・桜の木の妖精のおじさんが居ました。(→)
こんな蛮行に市の許可が出るわけがないので、勝手に彫ったのでしょうね。
ご丁寧にサインと日付まで彫り付けてありました。
確かに見事な出来ではありますが、ダメじゃないのよ~。
私の中での桜の精はこんな無粋なジジイ顔じゃないし・・・。


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玄関先でガーデニング [カナダの日々]

シソとミツバとミョウガをおつりが来るほど食べたい!!!
水菜のはりはりサラダも毎日食べたい。・・・でも手に入らないので、自家栽培することにしました。
今まで自ら植物を育てたことはありません。
ベランダでいろいろ育てては枯らす母を見て「土なんか触るのイヤだわ」とのたまう娘でした。
さらに、配偶者はサボテンさえをもネグレクト枯死させる男。
そんな家の玄関先に、ついに鉢が設置されたのです!
右上の画像はイメージです。
実際は、これ。(↓)
初心者ながらに、今はシソの発芽を待っているところ。
後からネットで調べて気がついたのですが、発芽するまでは浅い箱に薄く土を撒いて発芽させ、本葉が出てから大きなプランターなどに植え替えるもののようです。
でも、最初から鉢に植えちゃったので、まあこれはこれで様子見です。

2ヶ月ほど前に実家からベランダ園芸の本とシソ、ミツバの種を空輸してからというもの、ベランダに置くのに見た目がいいプランターやらスタンドやらを吟味してはいましたが、気が遠くなるほどのセレクションの中から育てたことのないハーブに相応しいものを選びきれずに、断念。
何しろ引越しで鍋やら皿やら家具やらを買うのが先決で、なかなか私のベランダ園芸にまで手が廻らなかったのでした。
しかし種蒔きは寒冷地で4月中となっていたため、雪が溶け、春が近づくたびに早くしなければと焦っていましたが、神が見かねたか気候は冬に逆戻り・・・。
そのまま2週間、ずっと寒いままです。
シソ植えたからもう春になっても構わないのよー。

ホームセンターへの訪問4度目にてようやく「初心者なのでまずは安物で」というポリシーを決め、無難なプラスチック鉢と培養土、スコップ、手袋などを購入して来ました。
ぐふふ、さぁこれで和製ハーブの Mon Jardin Potager が実現するんだわ♪と喜びいさんで種を蒔こうとしたところ・・・種が、無い。
あろうことか、ホームセンターにベランダ園芸の本、シソとミツバと水菜の種一式を置き忘れて来てしまったのでした。
こんなバカなことってあるのだろうか・・・。
自分の愚かさ加減をなかなか受け入れられませんでしたが、日本語の本に日本の種。何が書いてあるかわからないような代物を、誰も持っては行かないだろうと安心していたところ、やはりその日のうちに盗まれてしまったようで、結局手元には戻って来ませんでした。
Rの推理によると「WOW、ジャパニーズ!読めないけど何だかクール!」という理由により持ち去られた可能性が高いとのことで。
どうせあっても使えないくせにー。返してよ~。
取り合えず、3年前に持って来ていたシソ種があったので、まずはこれで試してみることに致しました。
芽が出るといいな。

ミツバと水菜は次回の空輸を待ちましょう・・・。


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おつかれ [カナダの日々]

人間、慣れた導線での動きから新たな環境に放り込まれると、こうもストレスを感じるものなのでしょうかね。
夢にまで見た新しく麗しいキッチンですが、どうも肝心の人間の動きが洗練されていない・・・。
新しい配置、新しい機器、新しい道具。
しかもね、床は恐怖の石張りタイルですよ。
どういうことかって?何か落とそうものなら、その物体の生存の可能性は皆無であるということ。
このキッチンでまともに食事を作り始めて3日目、既に5点もの物品を立て続けに粉砕して来た悪魔の喉笛、恐るべき石畳・・・。
それも気に入ってるものばかり。
初使用のワイングラス、大活躍だったフードプロセッサー、たった今包装を解いたばかりの砂糖壺の蓋、日本から送ってもらった橘吉の小鉢、五客揃いで頂いた湯呑。
イヤね、落とす私が悪いのですが。
どうしても動きが慣れないのです。
動作のひとつひとつがぎこちないために細かな失敗が積み重なり、作る料理も何だかいまひとつです。え?台所のせいにするなって?
もう少し身体がキッチンに馴染むまで、酔っ払いながらの台所仕事は控えます・・・。(これらの失態は全て酒が入った上でして)

更に、リビングには電話もねえ、テレビもねえ、椅子も机も何にもねえ状態ですので、はぁ~疲れた~、と腰を降ろすのは床。
これがまた日々の引越しの些細なストレスに拍車をかけているのでしょうか。
引越しって意外に消耗するものですね。
想像以上に疲れていたらしいRと私、立て続けに風邪を引き、更にちょっとしたことですぐに諍いになってしまっていけません。
未だに一人単位で物を考える癖が抜けない私。
ひとりになったところで少々反省。

人の子を眺めて癒されよう。
えみちゃんの最新情報です。→
と言っても、これももう3ヶ月も前の写真ですが。
もうこんなにデカくなっちゃって!
彼女、最近笑顔の変わりに間違った表情を使って笑うんです。
歯の間からシューシューと喜びの蒸気を出して、襲ってくるのがたまらない。
チャイルドプレイのチャッキーみたいで怖いです。
次会うときは、また全然違う顔になってるんだろうなぁ。


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引っ越しました [カナダの日々]

ようやく、ゴミ屋敷から引っ越すことができました。
そして私は今、ガラーンとした居間にひとり、ミカン箱を置いてパソコンに向かっているのです。
Rは昨日から数日間の予定で出張に行ってしまいました。
ようやくインターネットに繋がったのは、実質最初に繋がる予定だった日から8日後の昨日。
さらに料金は日本で私が7年前から契約しているO○Nの3倍以上(速度は5分の1)、接続技術者は来る予定時刻になっても現れず、問い合わせの電話を入れてもサポートセンターでは「私にはどうしようもないわ。予定では今日となっているから、遅れてるんじゃないの」とだけ。
「結局来なかったりしてねー、イギリスやフランスではこういうことよくあるんだよ。アハハ」と言って笑っていたところ、やはり来なかった・・・。
再度問い合わせると「行ったけど家に誰も居なかったので、伝言を残した」ということになっているらしい。
その伝言は、どこだよ?
誰も居ないはずの家で、2日間連続夕方の貴重な3時間をじっとお前を待っていた私たちは?
24時間マンションの表玄関に座っていた警備員は?
・・・実は来てないだろ、お前。

まったく、この国の宅配サービスの類は本当に酷いです。
郵便局からこれらの訪宅サービス、高額な送料による確実な配達を掲げるFE○EXなどの私立企業まで、ドライバーは顧客の手元に荷物を届けるということに対しては一切の労力を払わないのです。
一度ドアを軽くノック、返事がなければ不在票さえ入れずに立ち去ってそのままということもよくあります。再配達などもってのほか。
待ちぼうけを喰らって不機嫌な私たちは、これを確実な配達や時給による報酬ではなく、不在も含めて如何に多くの家を廻ったかによって給金が支払われているためではないかと勝手に推測、双方一応の合意を見て納得。というか、そうでもしないとこの許し難い怠慢さの説明がつかないんだもの。
おかげで不要な夫婦喧嘩に発展するところでした。
これまで幾度、大切な書類や荷物を受け取りあぐねたことでしょうか・・・。
パスポートの配達や、インターネットの接続技術者、確認の電話一本を入れることがなぜそんなに難しいのでしょう。
昨年から待っていた私の健康保険証は、結局届きませんでした。
また役所に行って新しい住所宛に再発行してもらうよりなく、更に数ヶ月かかることになってしまいます。

仕事上ネット接続状態が不可欠であるRは、せっかく引っ越したというのに前に住んでいたゴミ屋敷まで車で日参し台所でメールチェック、もしくは外出先にいつもノートパソコンを持ち歩き、周囲の飲食店がワイヤレス・インターネットを提供しているか常にチェックする一週間でした。

こちらのインターネット事情は日本のNTTにあたるベル・カナダ、ケーブルTVと携帯電話のROGERSの2社がほぼ独占状態ですので、個人の無力な顧客が文句を言っても彼らはビクともしないのです。
競合がない社会というのは、消費者にはとても厳しいですね・・・。
カナダは国土は広大だけれど、人口的には日本に比べると桁違いに小さい国であるということを、何度もRに指摘されます。
日本は面積こそ小さいが、実は大国なんだよなぁ。
フランスに住んでいた時、日本人の友人がフランス語のクラスで日本の人口の話になり、フランスの6割ほどの国土面積内に2倍以上の1.3億人がひしめいていることを初めて認識し、「日本人って多いんだね。なんだか恥ずかしくなっちゃった。」と言っていたことを思い出しました。


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妻を火炙りにしてはいけません [カナダの日々]

先日、テレビを見ていたら興味深いニュースをやっていました。

カナダ全体が外国からの移民を広く受け入れる政策を推進している結果、各地で大小の文化的な摩擦が起きていることは、ある意味避けがたい事実です。
そう言う私も移民の一人ですから、日々カナダのヘンなところをこうしてあげつらってはブログのネタにしたりもしているわけです。プチ日加摩擦ですね。もちろん逆の立場の意見もあるわけで、「ここがヘンだよ!日本人」がその一端に当るのかと思われます・・・。
さて、カナダ唯一のフランス語文化圏ケベック州にも例外なく移民は流れ込んでいるのですが、ニュースはこのケベック州のとある小さな田舎町(村?)についてのレポートでした。
Herouxville は モントリオールの北東160キロ地点に位置し、1,300人ほどの人口のほぼ全員がフランス語を話すカトリック教徒で占められています。
このたび移民を受け入れるにあたって発表された移民心得がマスコミの目に留まり、この小さな町は現在ちょっとした騒動に巻き込まれているのです。

その心得とは・・・
「この町では公共の場で顔を覆って歩くことはハロウィーン以外には許されません」
「この町では女性を石打ちにして殺害したり、公衆の面前で殴ったり、生きたまま火炙りにしたり、女性器を切り取る行為は許されません」
「この町の人々は年末には樅の木を飾り、酒を飲んで踊り、プレゼントを交換し、キャロルを歌うでしょう。これはクリスマスと呼ばれるものです。あなたもそんな場面に遭遇する可能性がありますので、反発することなくご承知おきください」
・・・などなど。

得体の知れない異民族、特にイスラム教徒に対する恐怖と差別の心理が如実に表れていますね。
確かに保守的な住民たちの精神的な抵抗や、未知のものに対する恐怖心は理解できますが、大方のメディアはこれを「行き過ぎた表現」「外国人アレルギー」と批判する向きが多いようです。
マイナス20℃を超すことも珍しくないケベック州の冬には、老若男女問わぬ皆がマフラーや帽子で厳重に顔を覆っているのですがね・・・。

この心得を制定した主要人物である町議員 Andre Drouin 氏は「国内外から2,000件を超す励ましのメールをもらった」「私達はあくまで自分達の立場を明確にしたかっただけなのに、イスラム教徒が過剰反応している」と反論しています。
「いずれの国からも、あらゆる宗教の人々をも歓迎するが、彼らは故郷のしきたりを放棄し、私達のライフスタイルを受け入れなければならないのだ」
また強硬派の意見として、モントリオール市内にてユダヤ教徒のシナゴーグに隣接するジムの窓から礼拝中に似つかわしくない光景(レオタード姿の男女が飛んだり跳ねたり)が見えることにに対してジムの窓が磨りガラスに変えられたことや、カナダ最高裁判所がシーク教徒の学生が祭祀用の短剣を学校内で持ち歩くことを認めたことに言及し、異民族のワガママ、受け入れ難い譲歩であるという立場を表明したラジオのコメンテーターも現れました。

この町の保守的なオバサマ達も、カトリック教会の裏手にストリップ・クラブやゲイ・バーができたなら青筋立てて怒鳴り込むのでしょうに。
現に、キリスト保守派系の反同性愛者団体であるアメリカ家族協会(AFA)は、米ウォルマートがゴールデングローブ賞四冠を受賞した同性愛映画「ブロークバック・マウンテン」のDVDを販売することに猛烈抗議、「ウォルマートがもはや私達が慣れ親しんできた家族に優しい企業でないことはあきらかだ」などと言ってボイコット運動を起こしているのです。

確かに私としてもいくら最高裁判所で認可されたとは言え、祭祀用と称して子供が刃物を教室内に持ち込むことには諸手を挙げては賛成できません。
しかし、これはどちらの立場の生徒も各学校が良識において定めるポリシー、ルールに準じれば良いのではないでしょうか。
カナダ国の人々の常識と各種の宗教感情とを照らし合わせた上で、譲れない要件については最善の解決点を見出して行くという努力は常に必要だと思います。
シナゴーグというユダヤ教徒に対しては無二の聖なる礼拝の場には、周囲の人間に多少の譲歩を要するとしても、尊重されるべきだと思うのです。モントリオールの事例についても別にジム自体を廃業に追い込むような極論ではなく、ただ窓から見える相応しくない風景を擦りガラスで遮断する、という解決策は極めて妥当だと思えます。
前述のカトリック教会の裏手にストリップ・クラブを開業しないのと同じ心遣いです。
強いられた不便さの逐一を鬼の首を取ったように振りかざしてヒステリックに批判するだけでは、決して他民族との共存は望めないでしょうから。。。

それぞれの良識、およびその国(この場合はカナダ)の法律や慣例に倣って、認めるべき物は認め、看過できないものは規制する、なぜ臨機応変に対応できないのでしょうね。

マスコミのバッシングの故か、2,000件の励まし以上の数の批判メールを受け取ったためなのか、後日 Herouxville の移民心得は衝撃的な表現をかなり削ったものに書き換えられたようですが。

* * * * * * * * *

トロントに戻って来たところ、9日間ほど無人だった台所に地下のネズミ君がついに引っ越して来ちゃったみたい・・・。
ハウスメイトが放置したゴミ袋の臭いに誘われて階段を昇って来たものと思われます。
天敵ゴキに比べればネズミの顔なんてカワイイものですが、台所に共存となるとこれはまた別のお話ですーー(泣)
だって哺乳類だし~保菌獣だし~何でも齧るし~手足が器用だし~・・・
怖いよぅ。
引越しまであと3週間・・・。


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晴れてます [カナダの日々]

バンクーバーに着いてからの二日間は息付く間もないというように降りしきっていた雨ですが、落陽に照らされた山々の稜線が綺麗だなぁ、と思った夕刻の翌日から連続で晴れています。
素晴らしい。
天気予報でもずっと雨の予報になっていたのに、冬でも晴れることもあるんだなぁ。
しかし、思えば明日から三月。
西海岸ではもう春なんですね。
街を散策中、道端で桜がほころんでいるのを発見・・・何だかほろりとしてしまいました。
三年前、五月のモントリオールでもひとり桜を見つけてしんみりしたことを思い出します。

山と海に囲まれた日本に育った我が身としては、オンタリオのひたすら平坦な大地には、安らぎを感じられないのです。
一番近い海辺からも何百キロも離れているなんて、考えると気が狂いそうに。。。
巨大な湖があるじゃないかと言われても、海とは全然違うのよ~。
ここバンクーバーには背後に迫る白い雪を戴いた山脈、身近に眺める海、先住民の歴史の息吹を感じるような深い森があります。
これらの自然が都市の中に居ても容易に楽しめる街は、世界中にもなかなかないのでは。
夏に海辺で泳いだ後、車で30分も行けばスキーができるらしいですから。
トロントのウォーター・フロントはもともと工業地帯として発達して来た所から条件的には厳しいのですが、都市再開発に失敗しているのが哀れなほど顕著。
その点、この街の水際は実に上手く都市に取り入れられていて、歩行者にも心地よい空間が広がります。
海が近いことから、海産物の新鮮さはトロントの比ではないのがまた素敵なところ。
こちらへ来てから四日目ですが、毎日魚を食べています。

更にケベック州を除いた(フランス人だから)カナダ中の市民が一様に甘んじているのかと思っていた、政府の酒類徹底管理ですが、どうやらバンクーバーでは個人商店が様々な種類の酒を市販できている様子。
トロント市のあるオンタリオ州では酒は政府の貴重な収入源として、役人の独占販売状態です。
LCBO (The Liquor Control Board of Ontario) オンタリオ酒類管理委員会によって一元輸入、管理がなされているため、州内に数種類のみ存在するお役所酒屋以外での酒類の販売はあり得ません。
アジア食料品店で料理酒を買うと、酒として飲めないよう苦肉の策として大量の塩を入れて売られていました。
彼らは公務員ですから、LCBOの営業時間は早い店舗で19:30、都心部の大きな営業所でもせいぜい22:00まで。
日曜、祝日は営業しない店も!
酒って普通それ以外の時間に飲むものじゃないですか!?

ビジネスの競合相手がないため、値段も一律で、何ケースまとめ買いしようが割り引きはなし。
輸入酒の中には50%近い酒税をかけられている物もあり、割高感が拭えません。
更に彼らが選定して輸入した物のみからしか選択の余地がなく、選ぶ自由を奪われていることが許せないのです。(個人輸入には途中廃棄(没収!?)のリスクや高額の輸入税を課せられる)
多少高くても日本酒やフランスワインの豊富なバリエーションが楽しめればいいのですが、ソムリエ歴三十年の個人ワイン店やら、日本酒専門店の頑固オヤジのチョイスに、巨大組織にのさばっている味音痴の役人が適うとでも??
レストランでの酒類の販売も免許制で、酒の取り扱いにはかなりの細かい規制があり、店側もLCBOを通して酒税を納めているのですが、これをレストランで注文する消費者には二重で税金がかかります。
これがトロントの一番キライなところ。

また「バンクーバーの人は皆、ジャージとスニーカーで、ダサイ」という話を聞いていたけれど、どうかな?
街中にはお洒落な人も結構多いんじゃないでしょうか。
確かにアウトドア・スポーツが盛んなのは土地柄当然でしょうが。
近代的な建物の建築様式から、路面を飾る個性的な店舗の数々を見るにつけ、センスの良い街であるように感じます。
目抜き通りのロブソン・ストリートには、愛するモントリオールを彷彿とさせる交差点も・・・。

何だかこの街が好きになっちゃったなぁ~。
人も優しいしね。


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バンクーバーは今日も雨 [カナダの日々]

突然ですが、バンクーバーから更新です。
トロントから西へ4000キロ以上、カナダ第三の都市バンクーバーに来るのはこれが初めて。
ワーキングホリデー時代は貧乏すぎて、同じカナダ国内と言えども空路五時間も離れたこの地はあまりに遠く、ついに辿り着くことができませんでした。
貧乏さでは今もあまり変わらないのですが、今回はRの出張に便乗させてもらったためにコストは先方の会社持ち♪ということで、凍て付くトロントから急きょ一週間の脱出が実現したのであります。
しかし、冬のバンクーバーはひたすら雨・・・。
朝から晩まで毎日雨・・・・。
それでも氷点下の世界よりはずっとマシですので、Rが一生懸命働いている間、私はひとりでできる限り楽しみましょう。

今までビジネスクラスの世界って体験したことがなかったのですが、本当に快適なものですね。
費用が他人持ちというところが更に幸せ感倍増です。(せこい)
飛行機の座席こそエコノミーでしたが、会社がダウンタウンの真ん中に予約してくれたホテルのスイートが、至れりつくせりで実に快適なのです。
数週間~数ヶ月間に渡って長期滞在することを前提としてあるようで、ベッドルームの他にソファが配置された広いリビング、インターネット環境付きの仕事机、さらにフルサイズの冷蔵庫、オーブン、コンロ、シンク、食洗機、電子レンジが完備されたキッチンが備わっているではないですか。
戸棚を開けると皿やナイフなど基本的な調理器具の他に、ケーキ型やグラタン皿、大根おろし器まで見つけた時には思わず笑ってしまいました。
乾燥機能付の洗濯機もあり、これはもうウィークリーマンション状態。
こんなホテルは初めて見ました。
私たちのアパートよりよっぽど素敵だわ・・・。
ホテルには他にもスパ、エステ、ジム、ヨガ・コースのサービスなど盛り沢山にあるようなのですが、勝手がわからずちょっと怖い。
値段、書いていないしなぁ。

バンクーバーには日本からの留学生および移民の数がトロントに比べ桁違いに多いので、本格的な日本食レストランから、日本食品や雑貨を扱う店など、日本人のためのサービスが驚くほど充実しています。
トロントにも星の数ほどある日本食レストランですが、高級鮨屋や懐石などの一部を除いては、九割方が非日本人による大なり小なりの「なんちゃって感」漂う店で占められているのが現状です。
メニューはスシおよびヤキトーリ、テンプーラ、店構えも浮世絵+ちょうちん+招き猫のステレオタイプのものばかり。
そんな世界から来た私には、東京でよく見るようなスタイリッシュな居酒屋ダイニング系の店が立ち並ぶ大通りは眩し過ぎです。・・・く、食い倒れる?
例の「いらっしゃいませエエエエエエ!!」の大合唱ももちろん聞けますよ。
日本人美容師による美容院も数多く存在しているようなので、一週間の滞在中に髪の毛切っちゃったりして、などとも企んでおります。

けれども、これは英語習得のために日本から来た学生にはあまりにも便利過ぎますね。
バンクーバーで過ごした知り合い達が、少しも英語を話さずに済んでしまったとこぼしていた理由がわかります。
私が四年前に敢えてトロントを選んだ理由は、まさにこれでした。
ああ、あの苦しく厳しく切ないトロントのワーホリ時代の冬よ・・・。
それでも更に厳しいオタワやカルガリーで暮らしている人々には甘えるな!と叱られそうですが。
ともあれカナダに定住することを考えると、生活の快適さと恵まれた自然環境からして、完全にバンクーバーに軍配が上がることは間違いなしです。

* * * * * * * * *

ところで、前回の鴨の記事へのアクセス数が今まで見たこともない数に昇っているのが少々不安です・・・。
もしや「ビーガン」で検索して来ていただいたのかしら・・・、もしかして流行ってる?
スミマセン、変なこと書いて。


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